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第72回秋季東北地区高校野球県大会(県高野連主催、毎日新聞仙台支局など後援)は22日、仙台市民球場で決勝と3位決定戦があった。
決勝は仙台育英が五回に7点を挙げるなど、12―1と仙台商を投打で圧倒。秋季県大会8連覇、23回目の優勝を成し遂げた。3位決定戦は仙台城南が14―7で古川工を降し、仙台育英、仙台商とともに秋季東北大会出場を決めた。仙台城南は旧校名の東北工大高時代なども含めて初出場。
東北大会は10月11日に岩手県で開幕。組み合わせ抽選は同4日にある。県大会と東北大会の結果は来春センバツの出場校を決める重要な選考資料となる。【藤田花、滝沢一誠】
<仙台市民球場>
▽決勝
仙台商
001000000=1
00007032×=12
仙台育英
(商)浜田、宮沢―大和田
(育)菅原、伊藤、吉野、笹倉―小野寺
▽本塁打 小野寺、入江(育)
▽三塁打 笹倉、小野寺(育)
▽二塁打 高田(商)田中2(育)
仙台育英は1点を追う五回2死満塁、笹倉の3点適時三塁打で逆転すると、打線がつながり一挙7得点。七回には小野寺が右越え3ランを放ち、差を広げた。仙台商は三回、千葉の右前適時打で先制したが、追加点を奪えず、仙台育英打線を抑え込めなかった。
<仙台市民球場>
▽3位決定戦
仙台城南
420500003=14
110203000=7
古川工
(仙)伊藤、高橋陸―石川、千葉
(古)岩崎、小関―板垣
▽三塁打 松本、山崎(仙)小関(古)
▽二塁打 伊藤2(仙)
仙台城南は一回2死満塁で松本が走者一掃の中越え適時三塁打を放ち先制。四回には打者11人で5点、九回にも打者8人で3点を挙げて突き放した。古川工は7点を追う六回、小関が右中間越えの2点適時三塁打を放つなど4点差に詰め寄るが、拙守が響いた。
○…仙台城南の高橋陸翔(2年)は六回途中、2失点を喫した直後に登板した。中学時代は投手だったが、地元の球場で本塁から90メートル以上離れたスタンドに大遠投したこともあるという強肩の持ち主で、この試合は右翼手として出場。ピンチの場面で救援投手として「復帰」し、古川工打線の追い上げを振り切り、チーム初の東北大会への切符をつかんだ。身長180センチの長身で、左足を大きく振り上げる投球スタイルが特徴。体形の近い大船渡(岩手)の佐々木朗希(3年)のフォームを「少し参考にしている」とはにかむ。次の舞台へ「目の前の1戦に集中して、センバツを目標に戦いたい」と意気込んだ。
■白球譜
先制点を許し1点を追う五回裏。今夏の甲子園全試合で登板した左腕エースが、2死満塁の場面で高めのストレートを捉え、チームに流れを引き寄せる逆転の3点適時三塁打を放った。
県大会は3本塁打を含む15打数8安打12打点と絶好調。「ストライクゾーンに来た球は全部ホームランを打つというイメージを描き、バッティングの良さを保った」と好調の理由を振り返る。須江航監督は「1年生の夏から甲子園を経験していることが大きい」と話し、「自己満足なプレーに終わらず、自分の役割を理解して打席に立てるようになってきた」と評価する。
甲子園での敦賀気比(福井)戦では自己最速の145キロを記録し、今大会は背番号1を引き継いだ。「甲子園に出ていた自分や(伊藤)樹は(投手陣の中で)一番上にいると思う。甲子園での経験を他の投手に伝えながら、競い合ってやっていけば、(投手陣の)レベルは上がる」と頼もしい。
最終回はマウンドに立ち、しっかり試合を締めた。東北大会に臨む新体制のチームについて「守備の詰めの甘さを無くしていけば、今年の夏のチームより強くなれる」と力強く語った。【藤田花】