メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

センバツ21世紀枠・候補校紹介

候補校紹介/6 伊香(近畿・滋賀) 地域や仲間と「共生」

地元住民が寄贈し、設置した綱を登ってトレーニングをする伊香の選手たち=滋賀県長浜市の同校で2019年12月18日午後2時20分、安田光高撮影

 <第92回選抜高校野球大会>

     倉庫の天井からぶら下がる長さ約3メートルの綱を選手が足を使わずに登る。伊香の冬の名物練習だ。この綱の他、打球が遠くに飛ばないように打席からマウンドまでをネットで囲んだ「鳥かご」、室内練習場の人工芝などの設備は地域住民から寄贈された。2013年就任の小島義博監督(33)は「部員が年々減る中で、1人で練習できる環境があるのはありがたい」と感謝する。

     1896年に伊香農業補習学校として創立され、滋賀県長浜市にある学校は地元の手厚い支援を受けてきた。1922年に伊香郡(当時)立から県立に移管する際、地元が県に1万坪の土地を提供。傾斜や雑木林を同郡(人口3万人)住民が整地したことから、「三万一心」が建学の精神となった。48年創部の野球部を支援するため、地元企業や住民による体育後援会が56年に発足。寄付金を募り、部の活動費用を補う。

     選手たちは地域への恩返しとして学校周辺の清掃活動を毎週行い、冬場には小学校の通学路や高齢者宅周辺の除雪に取り組む。昨秋の県大会で4強に入り、竹原壮吾主将(2年)は「『感動した』と住民から言われ、頑張ってよかった」と実感している。

     脳性まひで電動車椅子を使う山本陸マネジャー(1年=留年)が18年秋に入部したことも、部内に好影響を与えている。パソコンでのデータ入力に加え、リハビリを兼ねてノックのボール渡しを務める彼に対し、雨天の登下校では部員たちが車椅子を押すなど、気遣いを自然とするようになったという。竹原主将は「(ノックで)一球一球をしっかり監督に渡している。陸が頑張っているから、自分たちも頑張らないといけない」といい、小島監督は「多様性が求められる時代に障害者が携われる野球部があってもいい」と訴える。

     チームは春夏計5回の甲子園経験があるが、最後に聖地の土を踏んだのは春夏連続出場した87年。33年ぶりの甲子園を目指し、地域や仲間と「共生」しながら練習に励む。【安田光高】=つづく

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    関連サイト