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令和に歴史を刻め

選抜2校の進撃 第2部/下 明豊 全員野球で目指す頂点 /大分

日本一に向けて守備練習に励む明豊ナイン

 「サイレンの音も、周りの声も入ってこなかった。まるで悪い夢なんじゃないかって」。エースの若杉晟汰投手(2年)が伏し目になった。昨夏の甲子園県大会。明豊は準決勝で公立校の大分商に3-6で敗れた。周囲の誰もが甲子園を期待した中での惨敗だった。

     春の甲子園に連れて行ってくれた先輩への申し訳なさ。自分への情けなさ。敗戦後、若杉投手はショックで過呼吸に陥った。甲子園に出られなかった先輩たちは優しかった。「ごめんな。俺たちは晟汰で負けて悔いはない」

     遊撃手としてレギュラーだった宮川雄基選手(2年)は、それでも泣き崩れた先輩たちと若杉投手の姿が忘れられない。

     「人生で一番悔しかった瞬間です。あの時、俺が一言声をかけてやれば。今でも悔いが残る」。大分商戦の敗戦は、日本一になるためには全員の一致団結が必要だと再認識した試合だった。

     昨秋の九州大会では優勝したものの明豊は、全4試合で27失点を喫した。初戦の唐津商(佐賀)戦では20得点挙げる一方で、14失点。大会を通じて守りの甘さが目立った。

     失点を減らすため、新チームが掲げるのは「基礎の徹底」だ。今までは最長30分だった守備練習を倍の1時間にした。

     捕球の姿勢を一から見直し、低く強い送球の確実性をあげるために、手で転がした球をすくう所から再出発した。また守備位置にもこだわり、投球一球ごとに相手の打球がどこに飛ぶか野手陣で判断し、守備位置の修正を繰り返している。

     川崎絢平監督は「守備練習に一番時間をかけて、若杉を中心に守れるチーム作りをした」と話す。

     だが日本一を目指すには、当然ながら若杉投手一人では勝てない。支えるのは二番手の狭間大暉投手(2年)だ。これまで狭間投手は「自分は若杉には追いつけない」と思っていた。若杉投手は勝てないライバルだった。

     だが今は「若杉一人じゃ勝てない。任された場面で、ベストな投球をするのが俺の役割だ」と自分の存在の重みを実感している。練習に励み、直球の球速は143キロまで上がった。

     投手陣は下半身の強化を課題にしている。8種類のスクワットを最低400回。多い時には1日で3000回やることもある。下半身を鍛えることで投球時に片足で立っても踏ん張る力がつき、投手たちは制球力を上げている。

     それでも、全国は強豪ぞろいだ。昨春は準決勝で習志野(千葉)に敗れた。外野手の布施心海選手(2年)は「いくら打てても、守れないと勝てない。甲子園では取れるアウトを100%取れないと負ける」と甲子園の厳しさを語る。

     「得点で5点以上、守備で失点を3点以内に抑えたい」と川崎監督。「高校野球は1回負けたら終わりの世界。どんな勝ち方でもいい。泥臭く日本一を狙う」と主将を務める若杉投手は気を引き締める。

     目指せ日本一。明豊ナインが甲子園の舞台で進撃する。【河慧琳】

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