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新型コロナ 開催中止/上 天理 夏の舞台で力発揮を /奈良

竹森博志校長から選抜出場決定の報告を受けた際の天理の選手たち=天理市の天理親里競技場で、小宅洋介撮影

 <センバツ2020>

     新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった第92回センバツ。出場校が選ばれた後の中止決定という異例の展開を、選手・関係者はどう受け止めたのか。取材を担当した記者が振り返る。

     センバツの運営委員会が開催可否を議論しているさなかの11日午後、決定発表に備えて天理の練習グラウンドを訪れると選手らは黙々とバットを振り続けていた。記者の姿を見つけると「選抜やりますよね!」と何度も明るく声を掛けてくれ、開催を疑う様子はなかった。

     運営委が中止を決めた夕方、練習終了と同時に全部員が集められた。外では大雨が降る中、トレーニングルームで中村良二監督らが説明した。「こうなってしまったらしょうがない。夏を向いていこう」。選手たちは落ち着いて話を聞きながらも、唇をかみしめ悔しさを必死でこらえていた。

     2017年夏以来、遠ざかっていた甲子園。「やっといけるなと思ったからね」。中止決定を伝えた直後、球場内の一室で記者が中村監督に心境を尋ねると、悔しそうに涙を見せた。

     天理は19年秋の県大会は3位通過。その後の躍進には目を見張る物があった。並み居る強豪を倒して近畿大会の覇者に。明治神宮大会では、11年ぶりの4強入りを果たした。それだけに中村監督は「選手たちの事を考えるとかわいそうで」と話す。

     大会に懸ける思いもさまざまで、本当に熱がこもっていた。「亡くなった祖父に活躍する姿を見せたい」「夏に負けた先輩たちの雪辱を果たす」「活躍してプロ野球入りのステップに」。マネジャーたちも選手の活躍を信じ、全選手分のお守りを選手には秘密で作っていた。選抜に向けて目標を話す部員たちの目は一様に輝いていた。

     中止決定翌日、グラウンドを訪れると選手らは普段と変わらない姿で練習していた。既に夏を見据えているのだろう。出場決定の前後からわずか約2カ月だったが、選手の成長には目を見張るものがあった。過去に例のない経験を自らの糧にして、夏の大会で大いに活躍してくれることを願っている。【小宅洋介】

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