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センバツ中止 担当記者が振り返る明徳義塾 成長実感、再び勝利を /高知

ウオーミングアップをする明徳義塾の選手たち=須崎市で、北村栞撮影

 新型コロナウイルス感染が拡大する中、中止が決まった第92回選抜高校野球大会。甲子園の土を踏むことはできなかったが、出場権を勝ち取った明徳義塾の選手たちはチーム発足後からたゆまぬ努力を続けてきた。中止が決定するまでの選手たちの成長を担当記者として振り返る。【北村栞】

    筋トレでけが減 木製バット導入

     1月24日の出場校発表日。喜ぶ選手たちに取材をする際、2019年夏の甲子園でも活躍した奥野翔琉選手にチーム発足以降の体の変化を尋ねた。秋の大会取材中から、見た目にも体格が大きくなっていると感じていたためだ。返ってきた答えに合点がいった。「はい。上半身を中心に鍛えて、体重は8キロ増えました」

     明徳義塾は2年前から、筋力トレーニングを本格的に練習に組み入れた。18年秋にけが人が続出したのが一つのきっかけで、選手の体を大きくし、けがの防止につなげるのが主な目的だ。現チームの選手たちも筋トレに打ち込み、その成果を実戦練習中に実感していた。試合に出られないほどの大きなけがをする選手も出なかった。

     伝統の堅守を培ってきたのが厳しいノックだ。「合田(涼真選手)は球際の強さがあるし、今釘(勝選手)は体が軽く難なくこなせる。米崎(薫暉選手)は肩が強い」と新沢颯真選手は仲間の守備の巧みさを語る。

     その新沢選手は打撃自慢の選手で、秋の四国大会では豪快なスイングで仲間を救ってきた。チームとしてもこの冬は打撃強化に力を入れた。砂が入った重さ400~500グラム程度のサンドボールをティーバッティングで利用。バットに当たった後に力でボールを押し込む感覚を養った。また、木製バットも佐藤洋部長らの提案で導入。芯に当てないと飛距離が出ないため、初めは苦しむ選手が多かったが数週間でぐんぐんと飛距離は伸びた。「高校生って怖いねえ」と馬淵史郎監督もうれしそうにつぶやいた。

    仲間同士で助言 球数制限も意識

     練習では、声を掛け合う選手たちの姿が目立った。竹下慶選手は新沢選手に打ち方を尋ね「後ろ体重にすれば勝手に前に行く」とアドバイスを受けた。寺尾虎太朗選手は鈴木大照主将から打撃フォームについて「ガチガチになってるから、もっとゆったり構えてみたら?」と言われ、改善につなげた。2人ともライバルが多い環境をプラスに捉えていたのが印象的だった。

     悩みながらも自分の課題に向き合い、黙々と練習に励む姿もあった。元屋敷大誠選手はその一人だ。新チーム発足後、長打力が持ち味の自分のバッティングを見失っていた。「考えすぎるな」と言われても足の上げ方やバットの角度まで気になった。それでもバットを振り続け、2月半ば以降の紅白戦では木製バットで良い当たりを見せた。指導陣も調子が戻りつつあると感じていた。

     投手陣はウエートと走り込みで体を作り、投球に生かそうとしていた。エースの新地智也投手の制球力は折り紙付きで、練習の時も捕手のミットが動かない。内野陣からは「守備がしやすい」と声も上がる。導入予定だった球数制限を特に意識していたのは代木大和投手だ。投手陣はフル回転も想定される。「自分たちで負けては意味がない」と責任感の強さをにじませた。

    しんどい時こそ選手は練習再開

     取材を通じてOBらからチームへの高い期待を感じた。馬淵監督も「仕上がりはええよ。今(甲子園に)行ったら打てるで」と自信を見せていた。中止決定後、県高野連の山崎正明理事長は「(センバツで)上が狙えると思っていた。残念でならない」と悔やんだ。

     選手たちを見てきた周りの人々は一人一人の努力や実力を理解している。選手たちも自分の成長を感じているはずだ。選手たちは中止の発表からしばらく休み、練習を再開した。「しんどい時こそ人間の真価が問われる」。馬淵監督の言葉を胸に、再び勝利をつかむため変わらず懸命に白球を追う。


    登録メンバー

    投 新地智也(2年)

    捕 鈴木大照(2年)

    一 新沢颯真(2年)

    二 今釘勝(2年)

    三 合田涼真(2年)

    遊 米崎薫暉(1年)

    左 元屋敷大誠(2年)

    中 奥野翔琉(2年)

    右 寺崎元輝(2年)

    補 高須孝志朗(2年)

      竹下慶(2年)

      寺尾虎太朗(2年)

      加藤愛己(1年)

      代木大和(1年)

      畑中仁太(1年)

      玉城琉(2年)

      山中裕介(2年)

      辰巳翔太(2年)

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