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16カードここに注目 センバツ交流試合

帯広農は強力「なつぞら打線」 健大高崎は「機動破壊」で圧力 第5日第2試合

帯広農を投打にわたって引っ張る主将の井村塁(左)と健大高崎のエース左腕・下慎之介

 2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)が8月10日から、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる。16日の第2試合で対戦する帯広農(北海道)と健大高崎(群馬)の見どころや両チームの戦力、学校紹介、応援メッセージを紹介する。※全国大会出場回数は今春のセンバツを含む。

「機動破壊」をテーマに掲げ、走塁練習に取り組む健大高崎の選手たち=群馬県高崎市で2020年1月25日、喜屋武真之介撮影

帯広農の止まらぬ打線、健大高崎は左右の好投手が迎え撃つ

 チーム打率4割4厘の帯広農の強力打線が、左右の好投手を擁する健大高崎を崩せるかがポイントだ。

 帯広農は昨秋、巧打の千葉俊輔、俊足の井村塁らが出塁し、長打力のある水上流暢らが還すなど打線のつながりが良かった。前田康晴監督が「秋のような勢いを出して臨みたい」と話すように、打ち出したら止まらない打線の再現で勝機を見いだしたい。

 投手陣も、粘りが持ち味の井村、制球力のある千葉、安定感のある水上と、この3人の右腕がキーマン。継投で相手打線を抑えたいところだ。

 健大高崎は昨秋、群馬県大会3位から関東の頂点に立つなど、こちらも勢いに乗った時の強さがあり、同時に接戦の強さも見せてきた。エース左腕・下慎之介、大型右腕・橋本拳汰は140キロ以上を投げる。青柳博文監督は「バッテリー次第の戦いになりそう」と話し、主将の捕手・戸丸秦吾のリードを含めた守りで、まずは主導権を握りたい考えだ。

 秋は13試合で23盗塁。目立つ数字ではないが、走塁で相手に重圧をかける代名詞「機動破壊」の戦い方に加え、徹底したバント攻撃、一発長打など、多彩な攻撃も仕掛けられる。【藤井朋子】

センバツ交流試合の開催が決まり、練習に励む帯広農の選手たち=北海道帯広市で2020年6月10日、貝塚太一撮影

高い目的意識で実習と両立 1年前のリベンジ誓う帯広農

 「リベンジだ」。7月のオンライン抽選会で対戦相手が決まった瞬間、エースで主将を務める井村塁(3年)の脳裏を、あの敗戦がよぎった。

 昨年8月3日、地元であった健大高崎との練習試合に先発した井村は5回を投げて8失点(自責点5)。6―11で敗れた。以来、坂道ダッシュを繰り返して下半身を強化し、「球速は上がっている」と雪辱に燃える。この1年でチームも進化した。昨秋の道大会で1926年の創部以来初の4強入りを果たし、21世紀枠でセンバツ初切符を手にした。

 武器は、秋季十勝地区大会を含めて6試合連続2桁安打を記録するなど、チーム打率4割以上を誇る強力打線だ。軸はチームトップの打率6割6分7厘をマークした水上流暢(3年)。全53打点のうち19打点を挙げた右打者は勝負強さが光る。

 投手陣は、粘り強い投球が持ち味の井村と、遊撃手の千葉俊輔(3年)、さらに外野手の水上の右腕3人が柱になる。千葉は「甘いところに投げれば打たれる相手。厳しいところを攻め、打たせて取るピッチングをしたい」と意気込む。

 農業実習があり練習時間が限られるため、各選手がノートに目標や反省点を記し、目的意識を持って自主練習をしてきた。21世紀枠の選考でも評価された困難を強みに変える姿勢は、新型コロナウイルスによる自粛生活でも生きた。学校の牛から搾った牛乳と農場で取れる大豆などを混ぜた通称「パワードリンク」も農業高校ならでは。良質なたんぱく質を取り、体を作る。

 甲子園は82年の夏に初戦敗退して以来。井村は言う。「学校にとっても特別な大会」。学校創立100周年の節目を、甲子園初勝利で飾りたい。【菊地美彩】

農具を使った練習をする帯広農の選手たち=北海道帯広市で2020年1月25日、貝塚太一撮影

帯広農・井村塁主将の話

 (健大高崎は)走攻守ともに一体感のあるチーム。全体として雰囲気は上がってきているので、後は個人個人で仕上げていくだけ。感謝の気持ちを忘れずに、最後まで諦めない野球をしたい

82年夏出場 朝ドラ登場の高校モデル

 1920年に十勝農業学校として創立され、57年に現校名となった。野球部は26年創部。甲子園には82年夏に初出場した。卒業生に自転車マウンテンバイクで北京五輪から4大会連続代表の山本幸平選手ら。2019年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場した高校のモデルとなった。北海道帯広市。

「下宿いちい館」経営の渡辺米子さん=2020年7月9日、菊地美彩撮影

「一生に一度」子どもたちの躍動願う「下宿いちい館」・渡辺米子さん

 うちには野球部員10人が下宿していて、自分の子どもにしたのと同じように接することを心がけてきました。誕生日の子がいれば10人分のケーキを焼いたり、学校のテストで良い点だったら、ご褒美にTシャツをプレゼントしたり。けんかした時は「ちゃんと謝りなさい」と仲裁します。

 センバツの中止が決まった時、落ち込んで投げやりになってしまった子もいました。たくさんお米を食べて体作りに励んでいたのに、「昼はおにぎり1個でいい」と突然言い出して。私は「何を言っているの。きっと救済措置があるから、体を作らなきゃダメよ」と励ましました。

 一生に一度の甲子園での試合。今までの成果を出せるよう頑張ってほしいです。

攻守にわたってチームを支える健大高崎の戸丸秦吾=上毛新聞敷島球場で2019年10月20日、妹尾直道撮影

機動力絡め魅了する野球 勢い止まらぬ関東王者・健大高崎

 転機は昨秋の県大会、前橋育英との準決勝だった。序盤に先制を許し、打線はわずか3安打と沈黙。0―5で完敗した。それ以来、「試合を楽しむ」ことを心がけると結果が付いてきた。県3位で出場した関東大会は、1回戦で常総学院(茨城)に土壇場の九回に逆転して勝利し、勢いに乗った。準決勝で東海大相模(神奈川)を破るなどして優勝し、明治神宮大会も準優勝。待ちに待った甲子園での試合に主将の戸丸秦吾(3年)は「群馬の代表としてプライドを持って戦いたい」と意気込む。

 見る人を魅了する「スペクタクルベースボール」を掲げ、安定した投手力、機動力を絡めた多彩な攻撃が強みだ。

 エース左腕・下慎之介(3年)は最速143キロの直球に決め球のスライダーで高い奪三振率を誇る。カーブやチェンジアップも操り、関東大会と明治神宮大会で計4完投とスタミナも十分。戸丸とは中学時代からバッテリーを組み、「自分の力を引き上げてくれたのは、戸丸のおかげ」と信頼を寄せる。191センチの長身右腕・橋本拳汰(3年)は関東大会決勝で山梨学院を完封した。

 打線はチーム打率2割8分8厘と高くはないが、走塁で相手に重圧をかけるチームカラーは健在。俊足の戸沢昂平(3年)、明治神宮大会1回戦の倉敷商(岡山)戦で満塁本塁打を放った山本遼哉(3年)らが多彩な攻めを展開する。

 センバツ交流試合の開催が決まり、「新たな目標ができた。気持ちの入りようが違う」と気を引き締める戸丸は「(3年生は)日本で一番野球を楽しめる代。感謝の気持ちを持って、見る者を楽しませる野球をしたい」と試合を心待ちにしている。【川地隆史】

健大高崎・戸丸秦吾主将の話

 (帯広農は)打撃が良いチームだと思う。投手も野手も本当に良い状態。いろいろな方々に支えられて今がある。自分たちの野球というものがしっかりできるように頑張っていきたい。

12年春4強 90年には女子が都大路制覇

 1968年に群馬女子短大付高として開校、2001年に現校名に変更し、共学となった。野球部は01年に同好会として発足した。甲子園では12年春の4強が最高成績。夏は14年に8強入りした。OBに三ツ間卓也投手(中日)ら。陸上部は90年に全国高校女子駅伝で優勝。群馬県高崎市。

高崎ボーイズ中学部監督の久保田海斗さん=2020年7月10日、佐藤伸撮影

壮大な野球「思いっきり」高崎ボーイズ中学部監督・久保田海斗さん

 戸丸秦吾捕手と下慎之介投手は小学生の時から注目されていて、当時高崎ボーイズでコーチをしていた私たちが中学部にスカウトして指導しました。

 私は高崎ボーイズと健大高崎で投手でした。2人の先輩であり、同校ナインの先輩です。センバツも夏の大会もなくなった中、「なかなかない経験だ。プラスに受け止めろ」と声をかけるのは酷だとは思います。でも、この経験をどう生かすかはすべて自分次第だとも思います。

 交流試合は1試合。悔いのないようにアグレッシブにやってほしい。健大高崎は「スペクタクルベースボール」を掲げています。誰もできない壮大な野球を、との心意気を込めています。思いっきりプレーしてください。

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