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センバツ中止後、励ましてくれた亡き祖母に活躍誓う「夏」 明徳義塾・奥野選手

明徳義塾の奥野翔琉選手(3年)=高知市春野町芳原の県立春野球場で2020年8月2日午後3時6分、北村栞撮影

 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で10日開幕する「2020年甲子園高校野球交流試合」(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援)。大会第1日第2試合に登場する明徳義塾(高知)の奥野翔琉(かける)選手(3年)は夏の甲子園中止決定直前に祖母の美智子さんを72歳で亡くした。「夏に頑張れ」。祖母が遺(のこ)してくれた言葉を胸に、ある決意を持って試合に臨む。

 19年夏の甲子園では5番で先発出場し、2試合でヒットを放った。そんな孫の姿は美智子さんにとって誇りだった。自分のことのように喜び、奥野選手を取り上げた新聞記事は仏壇に飾り、近所の人にも見せて回った。

 冬に入り、「長打を打てるようになったらプロを目指せる。体作りを頑張ってみろ」と馬淵史郎監督(64)ら指導陣から助言を受けた。半信半疑だったが、足には自信があった。「足を生かしたプレーならプロで生きていけるんじゃないか」と思い始め、冬場はアドバイス通りに打撃力向上のためスイングスピードを上げようと上半身を鍛えた。

明徳義塾の奥野翔琉選手(3年)=高知市春野町芳原の県立春野球場で2020年8月2日午後3時43分、北村栞撮影

 手応えを感じ始めた矢先、センバツが中止になった。高知県大会3位の逆境からつかみ取った出場権。その分、大会への思いは強く、涙が止まらなかった。意気消沈して京都の実家に帰った際、美智子さんがかけてくれた言葉が「夏に頑張れ」だった。次第に気持ちが前を向き、夏に向けて踏み出せた。

 夏の甲子園も中止となったが、ある程度想定されたのでショックは小さかった。目指すはプロ。この目標はぶれることなく、モチベーションも維持して練習に励んできた。そんな中、県の独自大会とセンバツ交流試合の開催が決まった。亡き祖母の言葉に応える舞台は整った。

 県の独自大会では順調に決勝まで勝ち上がり、準々決勝では4打数3安打2打点と活躍し、盗塁も記録した。決勝は高知に2―3と惜敗。個人としてもノーヒットで悔いが残ったが、試合後には「打撃にはスランプがあるけど足にはないので。自分の一番の売りの足をアピールできるようにしたい」と1試合限りの交流試合に向けて気持ちを切り替えた。

 当初は無観客も想定されたが、保護者や学校関係者に加えスカウトも観戦できることになった交流試合。10日の試合では「一生懸命やっているところを天国から見てもらいたい。そして絶対プロになる」と祖母に活躍を誓う。一回り大きくなって戻ってきた甲子園の舞台。人生をかけた一戦に挑む。【北村栞】

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8月17日の試合

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