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我が子と障害/上 「大丈夫やけん」 自閉症の金メダリストを包む伊予弁

父峰松さん(左)に抱かれる1歳の山口尚秀選手。同年代の子供より体格がよかった=2002年5月(山口峰松さん提供)

 東京パラリンピックの金メダル候補に挙げられている競泳男子100メートル平泳ぎ(知的障害)の世界記録保持者、山口尚秀選手(19)=四国ガス=を、重圧から解放する言葉がある。「大丈夫やけん」。慣れ親しんだ伊予弁が心を優しく包み込む。「感情の制御が難しい子。自然体で見守るしかないと思っている」。父峰松さん(53)のまなざしは温かい。

 愛媛県今治市で生まれた山口選手は、3歳で知的障害を伴う自閉症と診断された。現在、身長187センチ、体重85キロと体格に恵まれているが、出生時の体重も3800グラム超と同世代の子供たちの中では大柄だったことに加え、他人と協調性を保つことも難しかった。「力加減が分からず、他の子にケガをさせてはいけない」と心配した両親は、人けがない夕暮れの公園で遊ばせたり、時には車で市外に連れ出したりすることもあったという。

 水泳との出合いは1歳の時だ。同居する祖父母と通っていた健康施設で泳ぎ始めた。小学4年の時に障害者コースが新設され、健常者の記録会に出場しながら力を伸ばす。高校1年で出場した2016年全国障害者スポーツ大会を機に、競技者として活動するようになった。「よいところを見つけて伸ばす」が子育てのモットー。自ら進んで打ち込み、結果も付いてきた水泳はその方針に合致した。

 初出場の世界選手権(19年9月)で100メートル平泳ぎを世界新で制し、東京大会代表に内定。順風満帆に見えるが、峰松さんは「美化され過ぎてはよくない。本人は自分のことを理解してもらえず苦しんだこともあったし、私たちは今も向き合い方を模索している」と胸の内を明かす。特別支援学校の高等部では人間関係に悩み、ふさぎ込んだ時期もあった。人付き合いには現在も不安を残すという。

 だからこそ峰松さんは物事を無理強いせず、息子に寄り添うように接している。家族からさりげない愛情を受ける山口選手は最近、「多くの人にパラスポーツを知ってほしい」とよく口にするようになった。責任感が自然と芽生えた息子を頼もしく思いながら、峰松さんは「周囲への感謝を胸に、恩を返せるようなレースをしてほしい」と大舞台での躍動に思いをはせる。

 陸上やり投げ(視覚障害)で東京パラリンピック出場を目指す若…

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岩壁峻

毎日新聞東京本社運動部。1986年、神奈川県生まれ。2009年入社。宇都宮支局、東京運動部、北陸総局(石川県)を経て、2019年10月から東京運動部。現在は主にパラスポーツを担当。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックは現地取材した。中学~高校(2年まで)はバレーボール部。身長が低かったため、中学の顧問には「スパイクは打つな」と言われて育つ。

高橋秀明

毎日新聞東京本社運動部編集委員。1968年、東京都生まれ。1991年入社。京都支局、鳥取支局を経て、大阪、東京運動部で野球、大相撲、柔道、レスリング、ニューヨーク支局で大リーグを担当。アテネ、トリノ、北京の五輪3大会を現地取材した。2018年4月からパラリンピック報道に携わる。最近の趣味は畑いじり。

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