24日号砲 全国高校駅伝/3 東海大福岡(福岡・男子) 考える練習、牙城崩す

毎日新聞

自分の体の状態を確かめながらジョギングで汗を流す東海大福岡の選手たち

 高い壁を乗り越えて、歴史の扉を開けた。先月5日の福岡県予選で東海大福岡は3区でケニア出身のサイモン・キムンゲ(2年)がトップに立つと、その後は首位を一度も譲らずに初優勝。31連覇中だった大牟田の牙城を、ついに崩した。

 飛躍の鍵になったのは、実業団式の「考える」練習だ。主にメニューを組み立てるのは駅伝の強豪・トヨタ自動車九州から出向中の植木大道コーチ(33)。2012年冬、県内中位の成績が続いていて停滞感を感じていた東海大福岡の田代修一監督(42)が「もっと強くなりたい」と、トヨタ自動車九州の森下広一監督(50)に協力を持ちかけて実現した。互いの拠点が隣町同士であり、陸上を通じて地元を活性化させたい思いが一致した。

 植木コーチは現役時代にけがに悩まされた経験から「継続して練習することが速くなる近道」と説いた。特に大切にするのはフリーのジョギングの時間。選手に自分の体とじっくり向き合わせ、ペースや負荷の掛け方を各自に判断させる。「体の変化に敏感になることで、レースの勝負どころに対応できるようになる」。地道な練習を重ねさせ、勝負勘を養わせた。

 チームは10年ほど前まで部員確保にも苦心したが、田代監督の熱心な指導で徐々に県予選順位を上げ、植木コーチ就任後は14年4位、昨年3位。好結果を受けて、選手も集まりやすくなった。昨年には初めての留学生のキムンゲが入学。部内は「相手うんぬんではなく、自分たちの走りをすれば勝てるという雰囲気が常に漂う」(田代監督)ようになった。

 植木コーチは今月限りで契約満了となり、元の職場へ復帰する。「大牟田を倒したことで注目されると思うが、生徒が頑張ってつかんだチャンス。大舞台を楽しんでほしい」。中心選手の小田部真也(3年)は「緊張もすると思うが、攻めの走りがみんなのモットー。序盤から積極的に上位を狙いたい」と闘志を燃やす。

 選手たちは植木コーチの花道を飾るべく、初の都大路で集大成の走りを見せる。【角田直哉】=つづく