都大路から2020へ 世界選手権代表・鍋島莉奈、青山学院大で箱根駅伝V3に貢献・一色恭志に聞く

毎日新聞

インタビューに答える鍋島=東京都小金井市で、小川昌宏撮影
女子第23回大会で1区を力走する鍋島(中央)=京都市の西京極陸上競技場で2011年12月、倉沢仁志撮影

 男子第68回、女子第29回全国高校駅伝競走大会は24日、京都・西京極陸上競技場を発着点に男女各47校が出場して行われる。高校生ランナーにとって憧れの舞台であり、都大路から巣立った名選手も多い。青学大のエースとして昨年度の箱根駅伝3連覇と大学駅伝3冠に貢献した一色恭志(23)=GMO=と、今年の世界選手権女子5000メートル代表の鍋島莉奈(24)=日本郵政グループ=の若手実力者2人に、都大路の思い出や今大会に出場する選手へのメッセージなどを聞いた。

究極の集団スポーツ 世界選手権女子5000メートル代表 鍋島莉奈=山田(高知)出身

 --山田(高知)で都大路を走り、1年生の時は2区で区間29位、2、3年生では「花の1区」でいずれも区間5位だった。

 ◆1年生の時は初めての全国舞台が都大路だったのですごく緊張した。レース後に永田克久監督から「もっと他のチームに追い抜かれるかと思った」と言われた。それが悔しくて、その後の練習を頑張れた。2年生では序盤で先頭に飛び出す形になった。私の3000メートルの自己ベストが遅いので「大丈夫でしょうか、鍋島さん」というふうに(テレビの)解説者に言われていたようだ。そういう選手でも駅伝で輝くことができて、思い出深い。3年生時は2度目の1区で、前回より順位を一つ、二つ上げたかったが、また区間5位。うれしいような、悔しいような思い出がある。

 --母校は立命館宇治(京都)とともに第1回から全て出場。練習も厳しかったか?

 ◆大学時代と比べても練習量は明らかに高校時代の方が多く、365日走った。2年生の全国高校駅伝での「全国でもこれだけ走れるんだ」といううれしい気持ちが忘れられず、もう一回味わいたいと思った。その大会はけがで直前まで足を引きずりながら走っていた。区間5位は奇跡。夢中で走って、先頭を走るのはこんなに気持ちいいんだと感じた。

 --永田監督の指導で印象に残るのは?

 ◆言葉で印象に残っているのは「終わりの来ない練習はない」。今でも苦しい練習の時に頭に浮かぶ。終わりがないことはないから辛抱しなさいと言われて、そう思えるようになったのはよかった。

 --駅伝の魅力は?

 ◆これも高校の先生に言われたが、長距離は「究極の集団スポーツ」だと。長距離の練習は一人ではできず、チームのみんながいるから頑張れる。駅伝も走る選手はもちろん、走れなかった選手のサポートも大きい。「究極の集団スポーツ」という部分が出るのが、駅伝のいいところ。

 --今大会出場選手にメッセージを。

 ◆都大路で走る一人一人が輝いている。走れることに誇りを持って、楽しまないと損。あとは苦しい表情を出さないでほしい。表情に出ると体も動かなくなる。苦しい時こそ、楽しんで走ってほしい。【聞き手・新井隆一】

楽しさと自信知った 青山学院大で箱根駅伝V3に貢献 一色恭志=仙台育英(宮城)・豊川(愛知)出身

後輩にエールを送る一色=東京都渋谷区で、西本勝撮影

 --高校時代は3年連続で都大路を経験した。

男子第63回大会の4区で区間賞の走りを見せ、豊川の初優勝に貢献した一色=京都市内で2012年12月、岡崎英遠撮影

 ◆京都府出身なので、1年生の時から都大路に懸ける思いは強かった。走っていて楽しかった特別な思い出がある。

 --仙台育英(宮城)の1年生の時は2区で区間2位。2年生では最終7区で区間賞を獲得した。

 ◆中学では800メートルの選手だったので、1年生の宮城県予選は補欠だったが、都大路では短い3キロで出場した。高校駅伝は短い距離もあり、長距離に強くなくても活躍できる場がある。中学時代は3000メートルのベストが9分10秒を切る程度だったが、都大路で2区を8分21秒で走って、大きな自信になったことを覚えている。

 --3年生時は転校した豊川(愛知)で4区区間賞を獲得し、初出場初優勝に貢献。最高の形で高校駅伝生活を完結した。

 ◆2011年3月に東日本大震災を経験し、2年生のシーズンは駅伝どころではなかった。それでも、都大路では優勝候補で12位という屈辱を味わい、最後の1年間は死ぬ気で頑張ろうと誓った。(監督の退任などで)豊川に転校することになり、最初は不安や戸惑いもあったが、転校した選手を含めて各自が競争意識を強く持ち、すぐに切り替えられた。メンバー外も含めて5000メートルの自己ベストを更新する選手が多く、自信が芽生えていった。

 --高校駅伝で得たことは。

 ◆一番は駅伝で走ることの楽しさを感じられたことだ。マラソンは孤独な競技だが、駅伝は1年間のチームの努力の結晶がレースに表れる。チームワーク(の勝負)だから面白い。きつい顔でタスキを渡されれば、「やってやろう」という気持ちにもなる。

 --青学大ではエース区間の2区を任されて箱根駅伝3連覇に貢献し、今は20年東京五輪に向けてマラソンに挑戦している。自身の経験を踏まえて高校生にメッセージを。

 ◆厳しい予選を勝ち抜いて出場するだけに、大舞台の喜びを感じながら、楽しんで都大路を走り抜いてほしい。そして、広い視野を持って将来像を描けるような意義のある舞台にしてほしい。【聞き手・浅妻博之】


NHKで生中継

 女子は午前10時5分、男子は午後0時15分からNHK総合テレビ、ラジオ第1で生中継。


 ■人物略歴

なべしま・りな

 高知県出身。中学1年で陸上を始め、山田(高知)で全国高校駅伝に3年連続出場した。チーム最高成績は2年時の12位。鹿屋体大では日本学生対校選手権1万メートル2連覇。日本郵政グループに昨年入社し、全日本実業団対抗女子駅伝優勝に貢献。今年は日本選手権5000メートルで初優勝し、世界選手権に出場した。


 ■人物略歴

いっしき・ただし

 京都府与謝野町出身。小学5年で本格的に陸上を始め、中学3年では800メートルで全日本中学選手権に出場した。高校では長距離で頭角を現し、青学大4年の2016年度には出雲、全日本、箱根の大学駅伝3冠に貢献。16年東京マラソンでは日本勢3番手の11位。GMO入社後はマラソンで東京五輪を目指している。