/下 白鵬女子(2年連続・12回目) 思いつなぐ全員の力 /神奈川

毎日新聞

一人一人が僅差で確実に

「全員が区間賞ではなくても、チームが1位になることはできる」。県大会の1週間前、選手たちは佐野純監督(60)からこう聞かされた。その言葉通り、区間賞は4区の松田梨里選手(2年)の1人ながら、チームは2年連続の優勝を果たした。「こんなことがあるんだ」と選手たちが驚きを隠せない中、佐野監督は「駅伝は1人の大きな崩れが全体に影響する競技。1位でなくても僅差で確実にタスキをつなげたことが勝てた要因だ」と話した。

 都大路は12回目の出場となる。「同じことをしていても県大会で連覇はできない。試行錯誤をして『白鵬メソッド』が形になってきた」。佐野監督は陸上競技連盟の活動で訪れたオーストラリアやアフリカで見た練習を、日本の高校生向けにアレンジして取り入れる。練習からペースの上げ下げを繰り返すことで、本番でピッチの変化や終盤のスパートに対応できるようになるという。

 県内屈指の強豪だが、学校のグラウンドには昨年舗装された50メートルのコースが4本あるだけで、恵まれた練習環境とは言えない。このため付近の公園にある芝生などを走り、筋力強化につなげている。

 絶対的エースは唯一の3年生、吉村玲美主将だ。高校でバスケットボールから長距離に転向。今夏のインターハイ3000メートルで日本人3位の7位入賞など実績を誇る。今年のチームを「個性がある」と評し、主将として、一人一人が力を発揮できるよう、後輩も積極的に意見を言える雰囲気作りに努めてきた。

 夏川茂子選手(1年)は県大会前、調子が上がらず悔し涙を流したことがあったが、吉村主将から「大会後にうれし涙で泣こうよ」と声を掛けられ、リラックスできたという。県大会で3区を走り、2位から逆転して11秒差をつけて1位でタスキをつないだ。夏川選手からタスキを受け、4区でチーム唯一の区間賞を獲得した松田選手も「先輩がいてくれたので落ち着いていられた」と話し、吉村主将の存在は精神的な支柱となっている。

 白鵬女子は昨年、8位入賞を目指して都大路に臨んだものの結果は20位と、全国の壁に阻まれ悔し涙をのんだ。今年のチームで唯一、昨年を経験した吉村主将は「駅伝は思いをつなぐタスキの力があると信じている。県大会では後輩に助けられたので、今度は自分が引っ張る。楽しんで走りたい」と都大路への意気込みを語った。


登録メンバー◇

1区◎吉村玲美 (3)

2区 下里芽依 (2)

3区 夏川茂子 (1)

4区 松田梨里 (2)

5区 小谷真波 (2)

   相沢瑠香 (2)

   中島璃音 (1)

   村田楓佳 (1)

監督 佐野純  (60)

 県大会の記録

 =1時間9分58秒

 全国大会の目標

 =1時間9分20秒

 ※◎は主将。カッコ内数字は学年。区間は県大会のもの