仙台育英、男女優勝目指す 都大路であす号砲 /宮城

毎日新聞

 男子第69回、女子第30回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社、日本陸連、全国高体連など主催)が23日、京都市の西京極総合運動公園陸上競技場を発着点に開催される。男女ともに県代表として出場する仙台育英は、昨年の都大路で女子は優勝、男子は3位入賞を果たした。今年も厚い選手層を擁し、男女ともに優勝候補の一角に挙げられている。選手も監督も慢心せず、着実に練習を積み重ねてきた。頂点を目指す仙台育英のランナーたちを紹介する。【滝沢一誠】

 ◆男子

全員が「エース候補」

 吉居大和選手は2年生ながら、今年9月から男子駅伝チームの主将を務める。「まだ(主将としては)慣れていない」と話すが、短期間の間に「全員が前向きで明るく、競技を楽しめるチーム」をつくり上げ、10月の県予選で4年連続27回目の優勝を達成した。

 吉居主将はチームの課題として、長距離区間の「1区(10キロ)、4区(8・0875キロ)で戦える力を持った日本人エースがいない」と、突出した選手がいないことを挙げる。だが、都大路出場メンバーは補欠を含めて10人全員の今季ベスト記録が5000メートル15分未満。誰もが潜在的な「エース候補」となりうる。「全員が(最長区間の)1区を走れるチームを目指して練習に取り組んできた」成果が表れつつある。

 4連覇を果たした県予選でエース区間の1区を走ったのは喜早駿介選手(2年)。東北の選手に先行され、区間2位でたすきをつなぐ結果となった。「課題が多かった」と悔やむが、5000メートル14分17秒と実績は十分。「リズム、足の接地に気をつけて練習している」という努力が実を結べば、本来の調子を取り戻せるはずだ。

 2区(3キロ)を任された金田龍心選手(3年)は「練習では自分にも他人にも厳しい男」(真名子圭監督)。富山県から仙台育英に進学し、「3年間、優勝のために頑張ってきた」と、最後の都大路にかける。

 3区(8・1075キロ)はケニア出身のルカ・ムセンビ選手(3年)が快走。序盤で1位に上がり、一気に差を広げた。ムセンビ選手は5000メートル13分45秒の記録を持ち、「アドバイスをしてくれたり、みんなを盛り上げてくれる」(吉居主将)とオン・オフ両面でチームの柱だ。

 4区は吉居主将が走った。愛知県出身だが「強い人たちと切磋琢磨(せっさたくま)したかった」と仙台育英に来た。けがに悩み、インターハイに出場できなかった時期もあるなど、特別な思いで都大路への出走を目指す。

 5区(3キロ)は山平怜生選手が出走。県予選出走メンバーでは唯一の1年生で、「チームに貢献できるような走りを見せたい」と意気込む。

 6区(5キロ)の金沢有真選手(3年)は「(県予選では)区間新記録を出せなかった」と反省すると同時に、「中盤の粘りが課題」と分析している。全国の舞台で予選の悔しさを晴らしたい。

 アンカーとして7区(5キロ)を走り、フィニッシュのテープを切った佐藤礼旺選手は長年けがに悩まされ、3年生の今年が、県予選初出場となった。「最初で最後の都大路。譲れないものがある」と全国大会でも闘志を燃やす。

 都大路の出走メンバーに選ばれた黒須優翔選手(3年)も最後の大舞台で好記録が期待できる。菊地駿介選手(2年)や後藤謙昌選手(1年)も実力は十分にある。

 真名子監督はあくまで堅実に「実力で3位入賞」を目標に掲げる。しかし、県予選の総合タイムは全国各都道府県の予選タイムの中で1位で、実力は全国でもトップクラス。さらにチーム全員は県予選後に1日あたり30キロ前後を走り込んできた。実力と練習の成果、メンバー一人ひとりの熱い思いがつながれば、「3位以上」の結果も射程圏内だ。

 ◆女子

2連覇目指し一丸

 昨年、都大路で23年ぶり3回目の優勝を成し遂げた女子チーム。1年生の冬から主将を務める武田千捺選手(3年)は「(全国優勝によって)一人一人の意識が変わり、2連覇を目標に練習や大会に取り組んだ」と語る。全国屈指の実力と並々ならぬ思いで向き合った練習の成果を再び存分に発揮したい。

 その一方で、今年はけがに悩んだ1年でもあった。武田主将は「1年を通して故障者が出てしまい、全員そろってポイント練習(負荷の高いメニュー)ができなかった」と振り返る。しかし、10月の県予選までには全員が復帰。「自己管理の徹底や休みの日の使い方を工夫して過ごす」よう気をつけ、ベストコンディションで都大路に挑む。

 ヘレン・エカラレ選手(現・豊田自動織機)が卒業し、絶対的エースが不在の状況で臨んだ県予選。しかし、終わってみれば2位以下に6分以上の差を付けて、圧巻の27連覇を成し遂げた。それでも、釜石慶太監督は「後半に日差しが強くなってタイムがやや落ちた」と冷静に分析。全国に照準を合わせて練習を重ねてきた。

 県予選では最長区間の1区(6キロ)を武田主将が走った。終盤まで他校との混戦となったが、最後に抜け出して好発進のきっかけをつくった。しかし、あえて課題として「ラストスパート」を挙げ、主将として3年間の集大成に臨む。

 2区(4・0975キロ)はエスタ・ムソニ選手が出走。ケニア出身の2年生は8月までけがで出走できなかったが、「ベストを出せた」と完全復活。都大路でチームの柱となる存在だ。

 3区(3キロ)を任されたのは県予選出走メンバーで唯一の1年生、小海遥選手。「練習になると上級生に負けないくらいパワーを発揮する頑張り屋」(武田主将)で、全国の舞台でも実力を証明したい。

 清水萌選手は4区(3キロ)で出場。より長距離の区間での出走を目指して「精度の高い練習をしてきた」と話す。2年生で今後の成長も期待できる。

 アンカーとして5区(5キロ)を走った木村梨七選手(2年)は3000メートル9分7秒の今季ベスト記録を持つ。全国屈指の実力者だが、県予選では「前の大会の疲労が残っていた」ために100%の力を発揮できなかったと悔やむ。「5キロを走る体力を付ける。私も『日本一の5人』に入りたい」と、基礎から練習を重ねて栄冠を獲得する。

 県予選で出走できなかった鈴木理子選手(3年)は昨年の都大路出走メンバーで実力は十分。柳川愛絵選手(2年)、門脇奈穂選手(1年)の下級生2人も出走を目指す。

 釜石監督はあくまで「3位入賞」を目標として掲げる。だが、選手一人ひとりは「2連覇」を胸に練習を重ねてきた。万全のコンディションで臨めば、通算4度目の栄冠も夢ではない。