あす号砲 美方男子、意気込む双子兄弟 身近なライバル、大輝と優輝 /福井

毎日新聞

最も身近なライバルとして高めあってきた双子の小島大輝選手(左)と優輝選手=福井県若狭町気山の県立美方高校で、塚本恒撮影

 23日の男子第69回、女子第30回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)に出場する美方の小島優輝選手(2年)には身近なライバルがいる。ともに駅伝強豪校の門をたたいた双子の兄大輝(ひろき)選手(同)だ。大会直前に故障した兄に代わってメンバー入りした優輝選手は「戦力ダウンとは言わせない」と意気込む。県勢は男女とも美方が出場する全国大会は、京都市の西京極総合運動公園を発着点とするコースで催される。【塚本恒】

兄、ケガ克服 弟、記録を更新

 雨で濡れた路面を無言で走る2人がいた。14日、若狭町の美方高校。走り込みを前にしたアップジョグだったが、大輝選手の故障が癒えたばかりでも、兄弟の間には互いに負けまいとする緊張感が走っていた。

 三国町(現坂井市)に生まれ「けんかばかりしていた」という中学の頃はともにバレーボール部で汗を流し、脚力を買われて駅伝競走にも参加した。走る楽しさを知って美方への進学を決め、大輝選手を誘う。住み慣れた郷里を離れ、南に約100キロ。寮で相部屋になり、ハイレベルな練習に意識も変わった。互いを高め合う、ライバルになっていった。

 堀真浩監督が「わが校の主力」と評価するほど成長した兄弟のうち、先にメンバーの座をつかんだのは大輝選手だった。11月4日の県大会では3区(8・1075キロ)を走り、区間賞を獲得した。続く同18日に富山県黒部市であった北信越大会ではエース区間の1区(10キロ)を任された。

 全国大会に向けて波に乗る大輝選手だったが、落とし穴が待っていた。走り始めてはみたが、足首の痛みを訴えて途中棄権する。疲労骨折と診断した医師から、3週間は走ってはいけないと告げられた。「目の前が真っ暗というか……当時は何も考えられなかった」

 堀監督が大輝選手の代わりに、白羽の矢を立てたのが優輝選手だった。「大輝が出場できないからと言って、美方の戦力が落ちたとは思われたくない」。北信越大会の1週間後にあった記録会では、5000メートルで14分49秒の自己新記録を出した。静かに闘志を燃やす。

 全国大会が迫り、大輝選手も練習に復帰した。「自分が暗くなっていたらチームに悪い影響を与える。ケガを乗り越えてこそ自分は強くなれる」と前を向く。色違いでも同じ型のランニングシューズを履く優輝選手も「大輝の存在があったから記録を伸ばせた。さらに高いレベルを目指したい」と感謝する。負けず嫌いで互いに高めあってきた兄弟が、全国の強豪校が集う師走の都大路に挑む。