全国高校駅伝/下 女子・津商 エース故障で団結 試行錯誤し心も成長 /三重

毎日新聞

 <あす号砲>

 11月11日の県大会で2位に2分30秒の差を付け、4年連続10回目の優勝を遂げた津商。しかし出場選手名簿にエース・川北陽菜選手(3年)の名前はなかった。故障でエースを欠く想定外の事態だったが、危機を乗り越えて優勝したことでチームの団結力は強まった。村島正敏監督は「全員がうまく心と体のバランスを取って本番に備えている」と期待を寄せる。

 川北選手は2016年の都大路で1年生ながら4区を経験。昨年は2区で区間27位タイの力走を見せた。部員が「絶対的なエース」と信頼を置く大黒柱だ。ところが9月末、練習中に左足の疲労骨折が判明する。川北選手は県大会出場を志願したが、村島監督は「県大会は(川北選手抜きでも)戦えるが、全国大会では無理だ」と出場を認めなかった。

 川北選手が走る予定だった1区は岡本凪布主将(3年)が務めた。1、2年生とともに都大路を経験した盟友の故障に「代わりが務まるのかとプレッシャーを感じた」という。2区を走った久木佑菜選手(3年)も「陽菜が走れないと知ったとき、全国に行けるのかと不安だった」。それでも選手たちは「陽菜が安心して戻ってこれるチームにしようと、全員がベストを尽くした」(岡本主将)結果、一丸となって都大路への切符を勝ち取ることができた。

 エースの故障というアクシデントは、チームに思わぬ副作用をもたらした。個人記録が問われる陸上競技だが「チームで戦う」という意識が高まった。県大会以降は週に数回、ドッジボールをするなど、チームワークを意識した遊びを練習に取り入れた。「県大会当時は張り詰めた雰囲気だったけれど、最近では笑う時間が増えた」と部員は口をそろえる。村島監督も「『チームで駅伝を戦う』という意識が強くなった」と選手たちの精神面の成長を感じている。

 一方の川北選手もけがを克服しようと懸命な努力を重ねている。「みんなが走っている姿をみて練習を再開したいと思った」と水泳などでリハビリや体力作りに励んできた。11月25日の東海大会には出場したものの、足に違和感が残って思うように走れず「40点の出来だった」と課題を口にする。なお不安は残るが「最後の大会だから全力で走りたい」と決意を語る。

 思わぬエースのけがをきっかけに、チームが試行錯誤を繰り返した3カ月間だったが、村島監督は「チーム全体で間違いなく成長した」と力を込める。期待と不安を胸に都大路に挑む津商。培った団結力を武器に大舞台を駆け抜ける。【谷口豪】

〔三重版〕