頂点へ駆け抜けろ 男子注目校

毎日新聞

 男子第69回、女子第30回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)は23日、京都市の西京極陸上競技場を発着点に男子が7区間42・195キロ、女子が5区間21・0975キロのコースで行われる。男子は都道府県予選を勝ち抜いた47校、記念大会の女子は都道府県代表に地区代表を加えた58校が熱戦を繰り広げる。注目の優勝争いには覇権奪還に懸ける伝統校もあれば、悲願の初制覇を狙う常連校もいる。都道府県・地区予選で好タイムをマークし、都大路で頂点を目指す男女の有力校を紹介する。【新井隆一、長宗拓弥、藤田健志、長田舞子、生野貴紀】

粘りで名門復活 仙台育英

都大路に向けてトラックで練習する仙台育英の選手たち=仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台で、新井隆一撮影

 宮城県予選でマークした2時間5分40秒は都道府県予選タイムで全国トップ。都大路で歴代3位タイとなる優勝7回を誇り、第55回大会(2004年)には「神の領域」と呼ばれた当時の大会記録(2時間1分32秒)をたたき出した名門が、11年ぶりの優勝を狙う。

 チームの軸は吉居大和、喜早(きそう)駿介の2年生コンビ。ともに5000メートルで今季ベストが14分10秒台とスピードに秀でる。昨年の都大路でも吉居は2区で区間2位と好走。アンカー7区で4位でタスキをもらった喜早は区間3位と力走し、大分東明とのラスト100メートルの競り合いを制して3位に押し上げた。

 今回は2人とも1区での起用を希望。勝負強く、2年生ながら主将を務める吉居が「チームに勢いをつけられる走りをしたい」と力を込めれば、喜早も「僕の長所はきつい時に粘れること」とアピールする。

 チームは東日本大震災発生翌年の12年春、当時の監督の退任に伴い、男女の主力が集団で強豪の豊川(愛知)へ転校した。大東文化大時代に箱根駅伝で区間賞に輝いた経験を持つ真名子圭(まなこきよし)監督(40)が再建を託されたが、その年に都大路連続出場が20年でストップした。「頭が真っ白になった。僕が歴史を止めてしまった」と意気消沈の真名子監督。しかし、心は折れなかった。真名子監督は入学を希望する有望な中学選手に1年間の綿密な指導計画を示すなど、前代未聞の集団転校劇からの信頼回復に努めた。その成果もあって徐々に力を取り戻し、14年には地区代表枠で3年ぶりに都大路へ返り咲き。そこから今回で5年連続出場となり、昨年は3位に躍進した。

 前回大会で23年ぶりに女王の座を奪還した女子は、今回も都道府県・地区予選タイムで全国3位に入り、優勝候補の一角に名を連ねる。喜早は「昨年は女子がうらやましかった。今年は女子に負けたくない」と意気込み、「チームの目標はもう一度3位、またはそれ以上」と頂点も見据える。

 男女同時優勝は1993年の仙台育英、15年の世羅(広島)の過去2回のみ。果たして偉業達成となるか。

競い合い底上げ 豊川

6年ぶりの優勝に向け練習に励む豊川の選手たち=愛知県豊川市で、藤田健志撮影

 愛知県予選は前回の都大路で1区を務めた柏優吾主将(3年)を欠きながら2時間5分49秒で、出場校中の都道府県予選3位のタイムをマークした。就任3年目の松永光雄監督(50)は「伸びてきた選手を使おうと思った。昨年走ったからといって甘やかすと全国では戦えない」と厳しい姿勢だ。選手たちは力が伯仲しているだけに、調子次第では控えに回る可能性もある。

 松永監督は「個性派」とチームを評する。全国から集まるためプライドの高い選手も多く、意思を尊重しながら臨機応変に指導する。柏主将も「自分の意見と食い違うことはあるが、一人一人の意見を加味しながら、よりよいチームを作っていける」と語る。

 都大路で雪辱を誓うのが5000メートルでチームトップの記録を持つ関口雄大(3年)だ。1年では1区で区間41位に沈み、前回は右足小指骨折で走れなかった。疲労がたまると体がぶれがちだったことに気づき、フォームを保つために集中力を維持することを意識。「区間順位は最低でも1桁、区間賞を狙いたい」と意気込む。

 1、3、4区候補としては柏、関口以外にも、県予選のアンカーで区間新をマークした大上颯麻(3年)、高校から本格的に陸上を始めながら県予選1区を走った鈴木竜太朗(2年)、今年の全国高校総体1500メートル4位の柳本匡哉(2年)も名前が挙がる。

 2012年に初出場優勝した時のメンバー、土屋貴幸コーチ(24)が指導に加わり、選手の相談に乗る。土屋コーチは「(距離の)短い区間は自信が持てる」と選手層の厚さに手応えを感じる。

 今年は学校創立90周年。初優勝以降は入賞できておらず、松永監督は「一昨年は27位、昨年は17位。7位を死守してそこから一つでも上を狙っていく」。節目の年に復活をかける。

前回“悪夢”糧に 洛南

本番に向け最終調整する洛南の選手たち=京都市で、長宗拓弥撮影

 テーマは「返り咲く」。3年連続の入賞を狙った前回は選手の体調不良などもあり、まさかの45位。再起をかける今回は、都道府県予選2位の2時間5分48秒を記録し、地元・京都勢初優勝を狙える位置にまで仕上げた。

 前回は不本意なレースだった。3区を託された諸冨湧(2年)は、朝から下痢や嘔吐(おうと)で体調が優れなかった。その姿に「自分が(タイムを)稼ぐ」と気負った1区の盛本聖也(3年)は走りが乱れて43位と出遅れると、諸冨もタスキをつなぐのがやっとの状態。立て直す余地はなく、諸冨は「(周囲から)良い経験になったと励まされたが、自分はそう思えなくて」と振り返る。

 不測の事態から1年。2選手は再び都大路へのメンバー入りを勝ち取った。逆境を糧に成長した選手に就任6年目の奥村隆太郎監督(32)は「過去にないくらい力のある選手がそろった」と手応えをにじませる。

 自信の背景には13人が5000メートルを14分台で走る厚い選手層がある。チームは今年、足の裏の接地にこだわる練習に注力。それぞれが自身に合うフォームを身につけ故障が減り例年にないほど走り込むことができた。

 チームは当初、都大路での「入賞返り咲き」が目標だったが、選手たちは予選2位という好結果に自信を取り戻した。ターゲットを「3位以内」に上方修正。主将を引き受けた盛本は、前々回の8位入賞と前回の悔しさの両方を知る唯一の存在で「今年は前で洛南が走っている姿を見せる」と表情は明るい。

 チームの軸は1区での起用を想定する三浦龍司(2年)。専門は3000メートル障害で日本人高校歴代3位の8分46秒56を誇るが、5000メートルでも14分4秒50と高校トップレベルの記録を持つ。「区間賞を狙っていく」。悪夢を払拭(ふっしょく)するために序盤からリードを奪うつもりだ。


NHK生中継

 女子は午前10時5分、男子は午後0時15分からNHK総合テレビ、ラジオ第1で。


男子歴代優勝校◇

 第1回(50)世羅(広島)     △1.46.57

 第2回(51)世羅(広島)     △1.44.31

 第3回(52)玉名(熊本)      2.18.42

 第4回(53)筑紫野(福岡)     2.15.37

 第5回(54)筑紫野(福岡)     2.18.40

 第6回(55)飾磨工(兵庫)     2.17.52

 第7回(56)常磐(福岡)      2.16.57

 第8回(57)小林(宮崎)      2.14.10

 第9回(58)常磐(福岡)      2.14.07

第10回(59)西条農(広島)     2.14.27

第11回(60)小林(宮崎)      2.13.17

第12回(61)小林(宮崎)      2.13.40

第13回(62)福岡大大濠(福岡)   2.13.57.8

第14回(63)中京商(愛知)     2.12.46.6

第15回(64)盈進(広島)      2.10.10.0

第16回(65)福岡大大濠(福岡)   2.10.45.2

第17回(66)中京商(愛知)     2.09.28

第18回(67)中京(愛知)      2.11.09

第19回(68)小林(宮崎 )     2.11.00

第20回(69)福岡大大濠(福岡)   2.10.08

第21回(70)相原(神奈川)     2.11.36

第22回(71)中津商(大分)     2.11.47

第23回(72)世羅(広島)      2.12.59

第24回(73)小林(宮崎)     ▲2.11.56

第25回(74)世羅(広島)      2.08.40

第26回(75)大牟田(福岡)     2.09.11

第27回(76)大牟田(福岡)     2.09.57

第28回(77)小林(宮崎)      2.10.43

第29回(78)小林(宮崎)      2.10.57

第30回(79)中京商(岐阜)     2.10.55

第31回(80)中京商(岐阜)     2.10.07

第32回(81)報徳学園(兵庫)    2.10.23

第33回(82)西脇工(兵庫)     2.08.46

第34回(83)報徳学園(兵庫)    2.07.04

第35回(84)報徳学園(兵庫)    2.08.05

第36回(85)報徳学園(兵庫)    2.06.43

第37回(86)市船橋(千葉)     2.06.30

第38回(87)埼玉栄(埼玉)     2.05.57

第39回(88)大牟田(福岡)     2.05.53

第40回(89)報徳学園(兵庫)    2.04.49

第41回(90)西脇工(兵庫)     2.05.44

第42回(91)大牟田(福岡)     2.06.47

第43回(92)西脇工(兵庫)     2.05.12

第44回(93)仙台育英(宮城)    2.05.25

第45回(94)西脇工(兵庫)     2.03.21

第46回(95)西脇工(兵庫)     2.05.20

第47回(96)報徳学園(兵庫)    2.05.08

第48回(97)西脇工(兵庫)     2.03.18

第49回(98)西脇工(兵庫)     2.03.32

第50回(99)仙台育英(宮城)    2.05.04

第51回(00)大牟田(福岡)     2.04.48

第52回(01)仙台育英(宮城)    2.03.46

第53回(02)西脇工(兵庫)     2.04.03

第54回(03)仙台育英(宮城)    2.02.07

第55回(04)仙台育英(宮城)    2.01.32

第56回(05)仙台育英(宮城)    2.05.04

第57回(06)世羅(広島)      2.03.18

第58回(07)仙台育英(宮城)    2.03.55

第59回(08)佐久長聖(長野)    2.02.18

第60回(09)世羅(広島)      2.04.09

第61回(10)鹿児島実(鹿児島)   2.03.59

第62回(11)世羅(広島)      2.03.50

第63回(12)豊川(愛知)      2.02.55

第64回(13)山梨学院大付(山梨)  2.03.53

第65回(14)世羅(広島)      2.02.39

第66回(15)世羅(広島)      2.01.18

第67回(16)倉敷(岡山)      2.02.34

第68回(17)佐久長聖(長野)    2.02.44

 タイム欄の△印は32キロ、▲印は41.795キロ、その他は42.195キロ。校名は大会当時


女子歴代優勝校◇

 第1回(89)市船橋(千葉)     1.09.48

 第2回(90)群馬女短大付(群馬)  1.08.51

 第3回(91)筑紫女学園(福岡)   1.08.28

 第4回(92)市船橋(千葉)     1.08.26

 第5回(93)仙台育英(宮城)    1.07.32

 第6回(94)仙台育英(宮城)    1.07.54

 第7回(95)埼玉栄(埼玉)     1.08.13

 第8回(96)埼玉栄(埼玉)     1.06.26

 第9回(97)埼玉栄(埼玉)     1.07.00

第10回(98)田村(福島)      1.07.56

第11回(99)筑紫女学園(福岡)   1.07.59

第12回(00)立命館宇治(京都)   1.08.05

第13回(01)諫早(長崎)      1.08.10

第14回(02)筑紫女学園(福岡)   1.08.24

第15回(03)須磨学園(兵庫)    1.07.46

第16回(04)諫早(長崎)      1.07.33

第17回(05)興譲館(岡山)     1.06.54

第18回(06)須磨学園(兵庫)    1.07.34

第19回(07)立命館宇治(京都)   1.07.06

第20回(08)豊川(愛知)      1.07.37

第21回(09)豊川(愛知)      1.08.27

第22回(10)興譲館(岡山)     1.07.50

第23回(11)豊川(愛知)      1.07.29

第24回(12)立命館宇治(京都)   1.07.22

第25回(13)豊川(愛知)      1.06.54

第26回(14)大阪薫英女学院(大阪) 1.07.26

第27回(15)世羅(広島)      1.07.37

第28回(16)大阪薫英女学院(大阪) 1.07.24

第29回(17)仙台育英(宮城)    1.06.35


男子歴代10傑◇

    学校       記録        大会

 (1)世羅(広島)   2時間1分18秒★ 15年全国大会

 (2)仙台育英(宮城) 2時間1分32秒★ 04年全国大会

 (3)仙台育英(宮城) 2時間2分 7秒★ 03年全国大会

 (4)佐久長聖(長野) 2時間2分18秒  08年全国大会

 (5)倉敷(岡山)   2時間2分34秒★ 16年全国大会

 (6)世羅(広島)   2時間2分39秒★ 14年全国大会

 (7)佐久長聖(長野) 2時間2分44秒  17年全国大会

 (8)仙台育英(宮城) 2時間2分54秒★ 04年宮城

 (9)豊川(愛知)   2時間2分55秒★ 12年全国大会

(10)九州学院(熊本) 2時間3分6秒   15年全国大会

 ※予選、地区大会を含む。

 ★は留学生を含む記録


男子出場校ベスト10◇

 (1)九州学院(熊本)  ★2時間4分34秒

 (2)八千代松陰(千葉) ★2時間5分17秒

 (3)埼玉栄(埼玉)   ★2時間5分26秒

 (4)大分東明(大分)  ★2時間5分35秒

 (5)仙台育英(宮城)   2時間5分40秒

 (6)洛南(京都)     2時間5分48秒

 (7)豊川(愛知)     2時間5分49秒

 (8)倉敷(岡山)     2時間5分54秒

 (9)西脇工(兵庫)    2時間6分4秒

(10)佐久長聖(長野)  ★2時間6分11秒

 ★は地区大会の記録