都大路、きらめく君 女子注目校

毎日新聞

出場経験が強み 長野東

2位になった前回大会のメンバーが4人残る長野東=長野市で、長田舞子撮影

 絶対的エースはいない。だが、昨年の全国2位になった高松いずみ(2年)、高安結衣(3年)、臼田彩花(3年)、小林成美(3年)の4人が残っていることは最大の強みだ。

 昨年は1区で区間賞を取った和田有菜(名城大)がチームを引っ張った。大黒柱は抜けたが、代わりにメンバーに入った萩谷楓(3年)は全国高校総体1500メートルで日本人2位の5位と引けはとらない。過去2回、3区を走った高安は「2年間の経験があるので、走り方を分かっている。最初から思い切って入りたい」と自信を見せる。

 練習は量より質、そして自主性が重んじられる。河川敷での練習では、玉城良二監督(57)が指示を出すこともなく、「怒るのは年に1、2回で、普段はストップウオッチを持ったこともない」というほど。誰が先頭を走るか、1周を何分ペースで回るかなど選手自らが考えて走る。週6日の練習の半分は個人の自由練習。選手自らが自分の課題を考えて、練習メニューを決める。萩谷は「最初は先輩がやっているのを見よう見まねで、何のためにやっているのかも分からなかった。でも、今は現状や明日の練習メニューを考えて、その時に自分が必要なことができている」という。玉城監督は「うちはある意味一番厳しい練習。何も教えてもらえないので、これで良いのか悪いのか自分で考えないといけない。やらされる練習ではなく、選手自らがやる練習」という。

 今年はチーム内のタイム差が少なく、底上げができた。「上位選手のタイムがうちより速いチームはあるが、9分41秒台の記録があってもメンバーに入れないチームは数少ない」と玉城監督。大舞台で昨年からの成長を見せられれば、頂点にも手が届く。

初優勝に向け有川監督(左)とミーティングする神村学園の選手ら=鹿児島県いちき串木野市で、生野貴紀撮影                             

復活し初V射程 神村学園

 「30年この仕事をしてきた。平成最後の締めくくりで過去最高の成績を目指します」。校内で開かれた壮行会で、マイクを握った有川哲蔵監督(52)の声は熱を帯びていた。高校女子駅伝大会が始まる年に、同校に就任した有川監督にとって今大会は集大成となる。

 第14回大会(2002年)で準優勝を果たすなど常連校の転換点となったのが2年前。前年に代表が19年連続で途切れたのをきっかけに、初の留学生となるカマウ・タビタ(ケニア)を迎え入れた。「日本一になるため」。指揮官として覚悟を示し、毎年優勝候補に挙げられながらも、16年は3位で、17年はカマウが故障を抱えていたのも響き8位に終わった。

 しかし、今年になって追い風が吹き始めた。全国大会での成績や専門の寮ができたことなどから部員が昨年の7人から新たな留学生1人を含む15人に。日本の文化に溶け込んだカマウに対し、有川監督は「日本人を強くするのも仕事の一つだ」とチームワークの重要性を説いた。2人の留学生が分かれ、集団を作って走るグラウンドに活気が満ちた。

 昨年同様、1区に3000メートル9分15秒79のタイムを持つ主将の平田歩弓(3年)、5区にカマウを起用する予定。1区で先頭集団に付きアンカーまでの遅れをどれだけ縮められるか。カマウが「(差が)40秒なら行ける」と言えば、平田も「(カマウが)先頭を見える位置でつなぎたい」と逆転へのシナリオを描く。

 「留学生を取って、この子たち(平田ら)が3年になったら、と考えていた」と有川監督。決断が正しかったと証明する舞台は整った。

3年ぶりの大会出場に向け、練習する須磨学園の選手たち=神戸市の須磨学園で、長宗拓弥撮影

個人より総力で 須磨学園

 優勝2回、2013年まで19年連続入賞の名門が、5年ぶりに「駅伝王国・兵庫」の頂点を奪還した。予選タイムの1時間8分4秒は全国トップ。12年ぶりの全国優勝も十分に視野に入るが、就任8年目の浜本憲秀監督(39)は「うちに大エースはいない。全区間が勝負」と慎重だった。

 苦しい時期を乗り越えてつかんだ3年ぶりの出場切符だった。14年に県大会での連覇が20でストップ。その年から西脇工に敗れ続けた。浜本監督は「日本一でなく『目指せ全国』と弱気だった学年もあったかもしれない」と振り返る。

 だからこそ、今春にチームはあえて「全国優勝」を目標に掲げた。部室前には、全選手が毎月の個人目標を書いて貼り出すという試みも始め、それぞれの課題を目に見える形で共有した。11月の県大会は全選手が区間賞で雪辱を果たすと、近畿大会も1時間8分40秒で5年ぶりの優勝。主将の金山琳(3年)は「これまでは個人の力で戦っていた。前の区間で予想タイムより遅くても、全員でカバーする空気感がある」と成果を強調する。

 3000メートルで4人が9分30秒を切る戦力を誇るが、都大路を走った経験者がいないのは懸念材料だ。夏の全国高校総体で1500、3000メートルともに決勝に進んだ大西ひかり(3年)は「留学生は自分たちと違う走り方をする。惑わされないようにしたい」と地区大会まではいなかった留学生ランナーを警戒する。

 だが、大西は「先輩が築いてきた伝統に自分たちも名前を刻んで、歴史に残るレースにする」と力強く宣言した。憧れ続けた最初で最後の都大路で、スタートラインに立てなかった先輩の思いも背負って駆け抜けるつもりだ。


女子歴代10傑◇

    学校        記録        大会

 (1)埼玉栄(埼玉)   1時間6分26秒  96年全国大会

 (2)仙台育英(宮城)  1時間6分35秒★ 17年全国大会

 (3)興譲館(岡山)   1時間6分50秒  10年中国

 (4)興譲館(岡山)   1時間6分54秒  05年全国大会

 (4)豊川(愛知)    1時間6分54秒  13年全国大会

 (6)埼玉栄(埼玉)   1時間6分56秒  96年埼玉

 (7)埼玉栄(埼玉)   1時間7分 0秒  97年全国大会

 (8)立命館宇治(京都) 1時間7分 6秒  07年全国大会

 (9)常磐(群馬)    1時間7分16秒  14年関東

(10)立命館宇治(京都) 1時間7分17秒  07年近畿

 ※予選、地区大会を含む。★は留学生を含む記録


女子出場校ベスト10◇

 (1)須磨学園(兵庫)     1時間8分 4秒

 (2)神村学園(鹿児島)   ★1時間8分10秒

 (3)仙台育英(宮城)     1時間8分23秒

 (4)大分東明(大分)    ★1時間8分43秒

 (5)樟南(鹿児島)      1時間8分53秒

 (6)長野東(長野)      1時間8分54秒

 (7)大阪薫英女学院(大阪) ★1時間9分19秒

 (8)世羅(広島)       1時間9分29秒

 (9)豊川(愛知)       1時間9分34秒

(10)北九州市立(福岡)   ★1時間9分35秒

 (★は地区大会の記録)