仙台育英・女子3位、男子11位 /宮城

毎日新聞

 師走の都大路を駆け抜ける男子第69回、女子第30回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社、日本陸連、全国高体連など主催)が23日、京都市右京区の西京極陸上競技場を発着点に開催された。男女ともに県代表の仙台育英は、女子が3位、男子は11位でフィニッシュ。中盤で先頭に立った女子は惜しくも2連覇を果たせなかったが、2年連続入賞と実力を証明した。男子も序盤の出遅れを盛り返す健闘をみせ、観客からは惜しみない拍手と声援が送られた。【滝沢一誠】

 ◆女子

連続入賞で実力証明

 女子は2区でトップに躍り出て、中盤を独走した。しかし、最終5区で神村学園(鹿児島)に1位を譲り、ゴール直前で長野東(長野)にも追い付かれた。それでも、1時間7分51秒の好タイムで3位入賞。2連覇の重圧がかかる中で都大路を力走した選手5人を、釜石慶太監督は「育英の底力を見せてくれた」とたたえた。

 午前10時20分、晴れ空で無風、気温13・9度という最高のコンディションの中、号砲が鳴った。全5区間で最長距離の6キロを走る1区には各校のエースが集う。木村梨七選手(2年)も、途中で抜け出した長崎商(長崎)の広中璃梨佳選手らを懸命に追い、「後ろ(後続)の人を信じる」一念で、7位でたすきをつないだ。

 2区を走るのはエスタ・ムソニ選手(2年)。ケニア出身の留学生は序盤から奮起した。あっという間に2位まで追い上げ、先頭の長崎商の選手を捉えると、3キロ手前で首位に浮上。高低差やカーブがある難しい区間を攻略し、6人抜きで2位と11秒差をつけた。

 後半戦に突入する第2中継所。清水萌選手(2年)はムソニ選手を見つけると「エスタ、ラストがんば!」と絶叫。トップでたすきを受け継ぐと、成田(千葉)の選手らから追われたが、プレッシャーを感じさせない堂々とした走りで首位を保った。

 4区を走った柳川愛絵選手(2年)は前日に急きょ出走メンバー入りし、「せっかく出るチャンス。自分の走りを見せたい」と意気込んで都大路に臨んだ。後続集団がじりじりと差を詰めてくる中、「5区に(武田)千捺先輩がいたので、あせらず、気持ちだけは余裕を持てた」。トップのまま4人の思いがつまったたすきをアンカーの主将・武田千捺選手(3年)に託した。

 2連覇を目指して疾走する武田選手だったが、神村学園のカマウ・タビタ選手(3年)が徐々に迫り、2・7キロ地点でついに捉えられた。それでも武田選手は懸命に走り抜いて競技場に入った。しかし、長野東の小林成美選手(3年)に土壇場で追い付かれ、2位と同タイムでの3位フィニッシュとなった。

 山形県出身の武田主将は、小学5年生の時に出会った釜石監督の指導を受けるために仙台育英に入学した。レース後、悔しさに泣き崩れた主将に釜石監督は「いろんな思いを背負わせてしまったな」と優しく声をかけ、「育英が復活したのは武田のおかげ。感謝しかない」と万感の思いを口にした。

鉄剤注射改善策を

 ○…「前々から早く改善策を持ってほしいと思っていた。私も全面的に協力したい」。大会前日の22日、陸上長距離選手の貧血対策として使われてきた鉄剤注射の問題に対して、仙台育英女子の釜石慶太監督が語気を強めた。鉄剤注射を行っていた学校が明らかにされていないために、「前回、全国優勝し歴代2位の記録を作ってから、いろいろとうわさが立つようになった」と疑惑の目も向けられてきたという。「教育者、指導者は生徒を守っていかなければならない」として、高校生ランナーが競技に集中できる環境づくりを訴えた。

来年こそ優勝、雪辱誓う 仙台育英(2年)3区・清水萌選手

 「試練を乗り越えよう」。釜石慶太監督は本番前日、選手に呼び掛けた。出走予定だった鈴木理子選手(3年)と小海遥選手(1年)が相次いでけがをして、急きょオーダーを組み替えたのだ。

 白羽の矢が立ったうちの一人、清水萌選手(2年)の胸にはレース前、「追い付かれたらどうしよう」と不安がよぎった。釜石監督は「自信を持って走れ」と背中を押して3区に送り出した。結果は区間3位の快走。2位との差を第2中継所の11秒差から23秒差へと広げ、「緊急登板」したもう一人の柳川愛絵選手(2年)にたすきを託した。

 自身の性格を負けず嫌いと自負する。昨年の都大路は補欠に回り、人一倍悔しい思いをしたが、今大会は感謝の思いを胸に臨んだ。釜石監督は「粘り強い走りを見せてくれた」とねぎらった。

 清水選手ら2年生4人の力走で3位に入り、仙台育英の底力を証明した。「地道にコツコツ練習し続けて、来年こそは優勝を釜石先生にプレゼントしたい」と雪辱を誓った。【滝沢一誠】

 ◆男子

出遅れ盛り返す健闘

 昨年はレース展開の利もあり5年ぶりに入賞した男子。真名子圭監督は「今年は実力で入賞する」と、2年連続上位入賞を目指した。しかし、緊張のためか序盤に出遅れ、無念の11位。ただ、途中から順位を徐々に上げていく執念をみせた。真名子監督は「もっと上を目指すには人間性をしっかりしていかなければ」と、メンタル面での成長を誓った。

 曇り空の下、男子47校が一斉にスタート。「花の1区」を任された主将の吉居大和選手(2年)は「勢いづけるように頑張りたい」という思いで先頭集団に食らい付くが、4キロ地点で引き離されてしまう。懸命に追い、トップと2分37秒差の42位で後続にたすきを託した。

 ここから「逆転の仙台育英」の本領を発揮した。3キロと短距離の2区は、県予選アンカーの佐藤礼旺選手(3年)。けがに悩まされ、今大会が初の都大路出場。順位を五つ上げて37位で走りきった。

 3区は高低差をいかに制するかが鍵。ケニア出身の留学生、ルカ・ムセンビ選手(3年)が区間3位の俊足で一気に19人を追い越し、18位まで順位を上げた。続く4区では、喜早駿介選手(2年)が復活を印象づけた。県予選では出走メンバーで唯一、区間賞を取れなかったが、都大路で区間4位、7人抜きを達成。順位を11位まで上げ、入賞が視野に入ってきた。

 第4中継所で「喜早、ファイト!」と声をかけたのは黒須優翔選手(3年)。今夏に腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)炎となった影響で県予選には出走できなかったが、11月の記録会で好タイムを出し、最後の都大路で昨年と同じ区間を疾走した。カーブや高低差での走力が問われる6区は唯一の1年生、山平怜生選手が出走。初の大舞台ながらも、緊張感を感じさせない落ち着いた走りを見せた。

 最後の第6中継所。11位でたすきを受けたアンカー・金田龍心選手(3年)は「どんな結果になろうと、今までやってきたことは間違っていない」と自分に言い聞かせ、3年間の集大成を胸に順位を守りきってフィニッシュした。

 「移動の時にいつも付ける(風邪予防の)マスクを吉居が忘れていた。いつもは気をつけているのに……」と、真名子監督は重圧に苦しむ2年生主将を気遣った。「あと1年ある。下を向いて泣くより、上を向いてスタートを切った方がいい」。吉居主将は「大きな舞台で走ることの難しさを学んだ」と言葉少なに話した。悔しさを糧に、新チームがスタートを切った。

都大路の借りは箱根で 仙台育英(3年)2区・佐藤礼旺選手

 小雨が降る中、アンカーの金田龍心選手(3年)が11位でフィニッシュ。思わず号泣する金田選手に、同じ3年生の佐藤礼旺選手(3年)が無言で肩に手を回した。同じく目には涙が浮かんでいた。

 今春までけがに悩み、今大会が都大路初出場。1年生で右足、2年生で左足を疲労骨折し、練習に復帰できたのは今年の5月。結果は悔しいものとなったが、「やっと(都大路を)走れた」という思いも込み上げた。

 残り1キロ地点で父と母、妹の姿を見つけた。「最後まで諦めるな!」という母の声援を受け、5人を抜いてルカ・ムセンビ選手(3年)にたすきを渡した。

 佐藤選手を含め、出走メンバーの3年生は4人とも大学に進学し、陸上競技を続けるという。真名子圭監督は「これが終わりではない。この経験を胸に、大学で陸上を頑張れ」とエールを送った。関東の大学に進学する佐藤選手は「都大路の借りを箱根で返したい」と、次の舞台を見据えている。【滝沢一誠】


 ◆女子メンバー記録

仙台育英=3位(1時間7分51秒)


区間・距離       氏名・学年     タイム 区間順位

1区(6キロ)     木村梨七(2)19分39秒 7位

2区(4.0975キロ)ムソニ(2) 12分41秒 2位

3区(3キロ)     清水萌(2)  9分41秒 3位

4区(3キロ)     柳川愛絵(2) 9分47秒 20位

5区(5キロ)     武田千捺(3)16分 3秒 7位


県勢 過去5年の都大路成績

   年 代表校  順位  タイム

2013 仙台育英 50位 1時間13分23秒

  14 仙台育英 34位 1時間12分55秒

  15 仙台育英 11位 1時間9分46秒

  16 仙台育英 15位 1時間9分53秒

  17 仙台育英  1位 1時間6分35秒


 ◆男子メンバー記録

仙台育英=11位(2時間6分7秒)


区間・距離       氏名・学年   タイム    区間順位

1区(10キロ)    吉居大和(2) 31分53秒 42位

2区(3キロ)     佐藤礼旺(3)  8分30秒 19位

3区(8.1075キロ)ムセンビ(3) 23分18秒  3位

4区(8.0875キロ)喜早駿介(2) 23分42秒  4位

5区(3キロ)     黒須優翔(3)  8分52秒  8位

6区(5キロ)     山平怜生(1) 15分5秒  17位

7区(5キロ)     金田龍心(3) 14分47秒 10位

県勢 過去5年の都大路成績

   年 代表校  順位  タイム

2013 東北   23位 2時間7分40秒

  14 仙台育英 11位 2時間6分2秒

     東北   20位 2時間7分34秒

  15 仙台育英 11位 2時間5分16秒

     東北   47位 2時間9分45秒

  16 仙台育英 26位 2時間8分52秒

  17 仙台育英  3位 2時間4分59秒