男子・鳥栖工、力走し10位 女子・佐賀清和、粘って43位 /佐賀

毎日新聞

 全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社、日本陸連、全国高体連など主催)が23日、京都市の西京極総合運動公園陸上競技場を発着点に開かれた。9年連続43回目の出場で入賞(8位)を狙った男子・鳥栖工は、3区の山崎諒介選手(3年)が9位でたすきをつなぐ快走を見せたが終盤失速し、2時間5分52秒で惜しくも10位だった。4年連続6回目出場の女子・佐賀清和は序盤から中盤までペースが上がらず苦しんだが、アンカーの渡辺夕奈選手(3年)が5人を抜く力走を見せ、昨年を上回る1時間13分33秒のタイムで43位となった。両校の最後まで諦めない粘り強い走りには、沿道から大きな声援が送られた。【竹林静】

 ◆男子

「あと一歩」悲願の入賞逃す

 「今年こそ入賞を」と臨んだ鳥栖工だったが、あと一歩の所で涙をのんだ。

 2年連続で1区を任された西久保遼主将(3年)は、「入賞圏内でつなぎ、流れをつくる」とスタートから先頭集団に。しかし5キロ地点で徐々に離され、2区の佐々木亮輔選手(2年)に12位でたすきを渡した。

 チームに勢いを与えたのは3区の山崎選手。鳥栖工が持つ3区の歴代最高記録を10秒更新する24分8秒で、9位でつなぐ快走を見せた。4区の吉山侑佑選手(3年)は「序盤から攻める」と力走して豊川(愛知)と競り合いながら、順位を守って5区の島崎元希選手(3年)に。続く6区の中島阿廉選手(2年)まで9位を維持し、アンカーの杉彩文海選手(2年)に託した。

 杉選手は、後ろから洛南(京都)が迫る中で「最初から全力を出す」と夢中で走ったが力が尽きて抜かれ、10位でフィニッシュした。待っていた3年生に「すみません」と涙を流しながら話しかけたが、西久保主将らは「おつかれさま」とアンカーの重圧を担った苦労をねぎらった。

 ◆女子

ハイペースの展開苦しむ

 樋渡朋子監督(42)が「(序盤で)勝負したい」と話していた1区は、エースの山下藍選手(2年)。しかし大会直前まで調子が上がらず、ハイペースなレース展開に苦しめられた。

 続く2区の山下花音選手(2年)は「後ろの人を楽にさせたい」と奮闘したが後半に失速して52位に。3区の山口遥選手(2年)は「昨年のリベンジを」と力強い走りを見せ、2人抜きで4区の大久保菜々選手(3年)にたすきをつないだ。大久保選手は「順位を上げたい」と粘り、48位でアンカーの渡辺選手にすべてを託した。

 渡辺選手は今大会でサポート役に回った武冨沙輝主将(3年)とハイタッチして、「メンバー外の3年生のために走る」と気合を入れて中継所に立った。結果は5区(5キロ)で5人抜きの力走を見せ、自己ベストを13秒更新してフィニッシュ。「チームとしては満足のいかない結果だが、自分の走りに悔いはない。ここまで育ててくれた監督、支えてくれた仲間や家族に感謝したい」と笑顔だった。


母の死乗り越え 吉山選手、夢舞台で駆ける

 悲しみを乗り越えて夢の舞台へ--。男子・鳥栖工で4区を走った吉山選手の母美奈さんは10月、がんのために49歳で亡くなった。県予選の8日前だった。「全国大会、走る姿が見てみたい」と生前、吉山選手に夢を話していた美奈さん。母の思いを背負って、都大路を駆けた。

 美奈さんは3年前、卵巣がんを発病。以来、入退院を繰り返してきた。摘出手術を終え、回復を願っていたが、昨年再発。すでにがんは全身に転移していた。しかし、吉山選手の走る姿を見たくて9月、大分県九重町であった九州選抜高校駅伝競走大会に応援に行った。父竜二さん(54)は止めたが、「どうしても行きたい」と大分へ向かった。それが最後の応援だった。

 病状が悪化した10月19日、竜二さんは家族を病院に呼び寄せた。練習を終えた吉山選手も駆け付け「陸上がんばるけん、見てて」と美奈さんの手をにぎった。その約4時間後、美奈さんは息を引き取った。

 吉山選手が駅伝を本格的に始めたのは高校に入ってからだ。厳しい練習の中で成長し、全国大会メンバー入りを勝ち取った。

 夢にまで見た初めての全国大会。9位でたすきを受け取ると、夢中で走った。「3年間、支えてくれた母には感謝しかありません」と走り終えて話した。母に「陸上がんばる」と約束した吉山選手。これからも実業団で走り続ける。