男子・倉敷、執念の坂一気 女子・神村学園、一念逆転(その2止)
毎日新聞
<男子は18面>
◆女子レース経過
1区は2キロ手前で長崎商の広中が集団から飛び出して後続に30秒以上の大差をつけた。仙台育英は2区・ムソニが6人抜きでトップに立つと、4区まで先頭を守った。神村学園は4区を終えてトップから31秒差につけると、5区のカマウが3キロ手前で仙台育英を逆転し、独走した。長野東は4区・小原が区間賞で三つ順位を上げて2位。大分東明は5区のモカヤが8人抜きで4位に入った。須磨学園は5位に終わった。
耐えてエース躍動
顔色ひとつ変えず悠々と抜き去った。神村学園の5区・カマウが3キロ手前で、先頭で逃げる仙台育英・武田をとらえた。「最初の2キロでどんどん近くなり、余裕があった」。トップとの31秒差をはね返し、逆に2位に26秒差をつけた。
鮮やかな逆転劇には、4区までの理想的なレース運びがあった。1区・主将の平田がスタート直後から集団前方に位置取り、優勝を争う仙台育英や長野東に先行して6位。2区から3人の1年生は不安材料だったが、「(長野東と)一緒にレースができた」と有川監督。2、3区は並走して耐え、4区でも背後についた。ライバルをペースメーカーとしてうまく利用することで、逆転可能な距離を保った。
立役者になった平田とカマウは3回目の舞台。2人はチームが都大路への20年連続出場を逃した翌年に入学した。以降、ケニアから来た初の留学生・カマウと平田はチームの2本柱として活躍してきたが、優勝候補に挙がった前々回は3位、前回も8位。前回は1区で遅れた平田は「チームのブレーキになったが、そこから気持ちを切り替えてやってきたことが優勝につながった」と喜びをかみしめた。
平田たちの入学前から「3年計画」で初の頂点を目指すと心に決めていた有川監督。卓越したレース運びに加え、競うように成長を遂げた選手たち。絵に描いた通りの最高の形で結実した。【長宗拓弥】
長野東、着実2位
○…長野東が2年連続の2位と地力を見せた。アンカーの小林がフィニッシュ手前の直線で仙台育英・武田を抜き、「競技場に入ったら抜かすことだけを考えた」。2年連続でアンカーを任され、昨年と同様、トラック勝負を制してのメダルに「とてもうれしい」とほほ笑んだ。優勝候補にも挙げられていた今大会。2区の萩谷が直前に右足の甲に痛みを感じ、玉城監督は「不安はあった」という。それでも、3区までで5位と粘りを見せ、4区の小原が区間賞の力走で2位に浮上した。初優勝には届かなかったが、玉城監督は「昨年と違うレース展開で、重みが違う。価値ある準優勝」と選手をたたえた。
仙台育英、最終区で涙
○…3位でフィニッシュし、2連覇を逃した仙台育英。アンカー・武田の目からは涙があふれ続けた。2位に20秒差をつけて最終5区に入ったが、迫る神村学園の足音に「焦って力が入り、自分の走りができなかった」。あっという間に首位を譲り、フィニッシュ直前で長野東にとらえられた。
故障者が出て前日にオーダーを組み直すなど波乱もあった中で、3位と前回女王の底力は見せた。「悔しさ半分、すがすがしさ半分」。釜石監督は選手たちを誇らしげにたたえた。
女子区間賞と日本選手1位
1区(6キロ)
広中璃梨佳(長崎商) 19分1秒
2区(4.0975キロ)
ムワンギ・レベッカ(興譲館)12分32秒
(3)小坂井智絵(成田) 13分3秒
3区(3キロ)
青木彩帆(大阪薫英女学院) 9分38秒
4区(3キロ)
小原茉莉(長野東) 9分26秒
5区(5キロ)
カマウ・タビタ(神村学園) 15分6秒
(4)小林成美(長野東) 15分43秒
※カッコ内数字は順位
全国大会女子歴代10傑
学校 記録 年
(1)埼玉栄(埼玉) 1時間6分26秒 1996
(2)仙台育英(宮城) 1時間6分35秒 2017
(3)興譲館(岡山) 1時間6分54秒 2005
(3)豊川(愛知) 1時間6分54秒 2013
(5)埼玉栄(埼玉) 1時間7分0秒 1997
(6)立命館宇治(京都) 1時間7分6秒 2007
(7)立命館宇治(京都) 1時間7分22秒 2012
(8)大阪薫英女学院(大阪)1時間7分24秒 2016
(9)神村学園(鹿児島) 1時間7分25秒 2018
(10)大阪薫英女学院(大阪)1時間7分26秒 2014
神村学園(鹿児島県いちき串木野市)
1956年創立の私立校。野球部は2005年選抜大会準優勝。女子サッカー部、女子ソフトボール部なども全国屈指の強豪。