男子・倉敷、2段ロケット 女子・神村学園、3年結実(その2止)

毎日新聞

1位でフィニッシュする神村学園のカマウ=西京極陸上競技場で2018年12月23日、川平愛撮影

 ◆女子レース経過

 1区は2キロ手前で長崎商の広中が集団から飛び出して後続に30秒以上の大差をつけた。仙台育英は2区・ムソニが6人抜きでトップに立つと、着々とリードを広げて4区まで先頭を守った。神村学園は4区を終えてトップから31秒差につけると、5区のカマウが3キロ手前で仙台育英を逆転し、独走した。長野東は4区・小原が区間賞で三つ順位を上げて2位。大分東明は5区のモカヤが8人抜きで4位に入った。須磨学園は2区までの出遅れが響き、5位に終わった。

女子の順位の推移

主将が勢い、5区で逆転

5区3キロ手前、神村学園のカマウ(右)が仙台育英の武田をかわし、先頭に立つ=木葉健二撮影

 顔色ひとつ変えず悠々と抜き去った。神村学園の5区・カマウが3キロ手前で先頭で逃げる仙台育英・武田を捉えた。「最初の2キロでどんどん近くなり、余裕があった」。トップとの31秒差をはね返し、逆に2位に26秒差をつけた。

 鮮やかな逆転劇には、4区までの理想的なレース運びがあった。1区・主将の平田がスタート直後から集団前方に位置取り、優勝を争う仙台育英や長野東に先行して6位。2区から3人の1年生は不安材料だったが、「(長野東と)一緒にレースができた」と有川監督。2、3区は並走して耐え、4区でも背後についた。ライバルをペースメーカーとしてうまく利用することで、逆転可能な距離を保った。

 立役者になった平田とカマウは3回目の舞台。2人はチームが都大路への20年連続出場を逃した翌年に入学。以降、ケニアから来た初の留学生・カマウと平田はチームの2本柱として活躍してきたが、優勝候補に挙がった前々回は3位、前回も8位。

 前回は1区で遅れた平田は「チームのブレーキになったが、そこから気持ちを切り替えやってきたことが優勝につながった」と喜びをかみしめた。

 平田たちの入学前から「3年計画」で初の頂点を目指すと心に決めていた有川監督。卓越したレース運びに加え、競うように成長を遂げた選手たち。絵に描いた通りの最高の形で結実した。【長宗拓弥】

前だけ見て区間賞 広中璃梨佳(りりか) 長崎商・3年

1区2キロ付近、長崎商が集団を引き離す

 前だけを見ていた。「全てを出し切ろう」。トレードマークの青紫色の帽子で狭まった視界から、ほかの57人の存在は消えていた。

 「勝負どころ」と決めていた上り坂となる2キロ手前で早々と飛び出した。4キロで独走態勢となり、首を左右に揺らしながら力を振り絞った。区間記録(18分52秒)には届かなかったものの、2位に31秒の差をつける19分1秒の好記録をマークした。

 中学から陸上を始めた。身長164センチの恵まれた体格と、元実業団監督の定方次男さんの指導で力を伸ばした。高校1年の時の全国都道府県対抗女子駅伝で、実業団選手を含めた11人抜きで全国に名が知れ渡った。

 U20(20歳以下)世界選手権代表などの活躍があっても、本人の頭にあるのは駅伝。長崎県予選で過去2回、1区で区間賞を取ったが、諫早の壁を打ち崩せず、最終学年で初めて都大路のスタートラインに立てた。

 今後は実業団に進む予定で、その視線の先には世界の舞台がある。「どんな3年間だったか」と聞かれると、笑顔で言った。「短かった。長商に来て本当に良かったです」【生野貴紀】

長野東、2年連続準V

フィニッシュ手前で仙台育英を長野東が抜いて2位に

 ○…長野東が2年連続の2位と地力を見せた。アンカーの小林がフィニッシュ手前の直線で仙台育英・武田を抜き、「競技場に入ったら前を抜かすことだけを考えた」。2年連続でアンカーを任され、昨年と同様トラック勝負を制してのメダル獲得に「とてもうれしい」とほほ笑んだ。

 優勝候補にも挙げられていた今大会。2区の萩谷が大会直前に右足の甲に痛みを感じ、玉城監督は「不安はあった」という。それでも、3区までで5位と粘りを見せ、4区の小原が区間賞の力走で2位に浮上した。念願の初優勝には届かなかったが、玉城監督は「昨年とは違うレース展開で、重みが違う。価値ある準優勝」と選手をたたえた。

3位、悔しさ半分

 ○…3位でフィニッシュし、2連覇を逃した仙台育英。アンカー・武田の目からは涙があふれ続けた。2位に20秒差をつけて最終5区に入ったが、迫る神村学園の足音に「焦って力が入り、自分の走りができなかった」。あっという間に首位を譲り、フィニッシュ直前で長野東にとらえられた。

 故障者が出て前日にオーダーを組み直すなど波乱もあった中で、3位と前回女王の底力は見せた。「悔しさ半分、すがすがしさ半分」。釜石監督は選手たちを誇らしげにたたえた。

大分東明初入賞

 ○…大分東明がチームの歴代最高の4位に入り、初入賞と躍進した。アンカー5区のモカヤがタスキを受けた時点でトップと1分6秒差の12位。しかし、今年の全国高校総体3000メートルを制したケニア出身の留学生は大きなストライドを伸ばし、次々と追い抜いてみせた。モカヤは日本語で「うれしい」と満面の笑みを浮かべた。6回目の出場で過去最高は昨年の14位。1区を走った主将の神田は「目標だった入賞が達成できてよかった」と涙ぐみながらモカヤと抱き合った。


女子区間賞と日本選手1位

1区(6キロ)

 広中璃梨佳(長崎商)    19分1秒

2区(4.0975キロ)

 ムワンギ・レベッカ(興譲館)12分32秒

(3)小坂井智絵(成田)   13分3秒

3区(3キロ)

 青木彩帆(大阪薫英女学院)  9分38秒

4区(3キロ)

 小原茉莉(長野東)      9分26秒

5区(5キロ)

 カマウ・タビタ(神村学園) 15分6秒

(4)小林成美(長野東)   15分43秒

 ※カッコ内数字は順位


全国大会女子歴代10傑

    学校         記録       年

 (1)埼玉栄(埼玉)    1時間6分26秒 1996

 (2)仙台育英(宮城)   1時間6分35秒 2017

 (3)興譲館(岡山)    1時間6分54秒 2005

 (3)豊川(愛知)     1時間6分54秒 2013

 (5)埼玉栄(埼玉)    1時間7分0秒  1997

 (6)立命館宇治(京都)  1時間7分6秒  2007

 (7)立命館宇治(京都)  1時間7分22秒 2012

 (8)大阪薫英女学院(大阪)1時間7分24秒 2016

 (9)神村学園(鹿児島)  1時間7分25秒 2018

(10)大阪薫英女学院(大阪)1時間7分26秒 2014


神村学園(鹿児島県いちき串木野市)

 1956年創立の私立校。野球部は2005年選抜大会準優勝。女子サッカー部、女子ソフトボール部も全国屈指の強豪。