男子優勝・倉敷 豪雨被災地に勇気 住民励まし励まされ

毎日新聞

1位でフィニッシュした井田春選手(手前)と抱き合う宍戸来嘉主将(左)ら倉敷の選手たち=京都市右京区の西京極陸上競技場で2018年12月23日、久保玲撮影

 京都市で23日に開かれた男子第69回、女子第30回全国高校駅伝競走大会で、選手たちは支えてくれた地域の人たちや仲間への思いを胸に都大路を走り抜いた。男子は倉敷(岡山)が7月の西日本豪雨を乗り越えて2年ぶり2回目の日本一に輝いた。

 「勇気と感動を与える走りをしようと頑張った」。倉敷の宍戸来嘉(らいか)主将(3年)は胸を張った。

 学校のある岡山県倉敷市内では7月の豪雨で河川が氾濫し、甚大な被害が出た。テレビの前で宍戸主将はぼうぜんとした。中学生の時、友人が住んでいて遊びに行った真備(まび)町地区が一面水につかっていた。「信じられなくて、ショックは大きかった」と振り返る。

 寮は無事だったものの、同校の生徒約50人の家が浸水した。普段練習している倉敷運動公園陸上競技場は、災害復旧にあたる自衛隊の拠点に。豪雨から1カ月ほどは、市内のマスカットスタジアムのランニングコースや、土のグラウンドを借りて練習した。

 普段の競技場のトラックはゴム製の全天候型(タータン)。いつもと感覚が異なり戸惑いもあったが、走る距離は維持できた。「自分たちはたまたま被害が少なかった。練習できていることに感謝しよう」。主将は部員に呼びかけた。全国制覇に加え、被災した人たちを励ますことが新たな目標に加わった。

 寮の近くを流れる倉敷川沿いをチームで走ると、「今年もがんばれ」と地域の住民から声援を受け、スポーツドリンクなどの差し入れも届いた。宍戸主将は自宅が被害に遭った友人から「頑張ってこいよ」と励まされた。

 この日、宍戸主将は2区を区間8位で力走。フィニッシュしてひざをついた井田春選手(3年)をチームメートと支え、喜びを分かち合った。「倉敷の皆さんに元気を届けたいと、選手が一生懸命走ってくれた」。厳しい表情の多い新(しん)雅弘監督(57)が笑顔でねぎらった。【戸田紗友莉、山崎征克】