「豪雨被災、負けない」広島・世羅の細迫兄妹が都大路へ

毎日新聞

本番に向け調整する妹の細迫由野選手=広島県世羅町の世羅高グラウンドで2019年12月8日午前11時11分、手呂内朱梨撮影

 京都市で22日にある男子第70回、女子第31回全国高校駅伝競走大会に、昨夏の西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県坂町出身の兄妹が出場する。男女とも出場する世羅(広島)の細迫海気(ほそさこ・かいき)選手(3年)と由野(ゆの)選手(1年)。疾走する姿で故郷を勇気づけようと、最終調整を続けている。【手呂内朱梨】

練習に励む兄の細迫海気選手=広島県世羅町の世羅高校グラウンドで2019年12月8日午前11時44分、手呂内朱梨撮影

 昨年7月6日の災害発生時、海気選手は寮生活で坂町を離れていたが、当時中学3年だった由野選手は地元で被災した。豪雨は山を削り、砂防ダムを決壊させた。土石流が町を襲い、災害関連死を含め19人の命を奪った。

西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県坂町の住宅街=同町で2018年7月8日午後2時3分、藤井達也撮影

 県大会が直前に迫っていた。自宅に被害はなかったものの授業の再開が遅れ、通学で使った電車も運休。「走っていいのかな」。そんな思いを抱えながらも、教諭や家族の声に押されて走った。

 中学校の校庭はボランティアが利用する駐車場となったが、学校は普段から使わせてもらっていた実業団のグラウンドを、頻度を増やして借りてくれた。県大会は1500メートルの標準タイムに届かず全国大会には出場できなかったが、「練習できた分、満足する走りができた」。走れたことがうれしかった。

 被災前年の2017年12月、京都で第68回大会の5区(3キロ)を走った海気選手を応援した。兄の雄姿に刺激され、「本気でやりたい」。その思いは被災後も変わらず、世羅に進学した。今は兄とともに寮生活を送る。11月の県予選では区間賞を獲得した。上り調子の妹に、今度は兄が「負けていられない」と刺激を受け、フォーム改良に取り組む。

 部員数が男女計66人の世羅で厳しい競争に勝ち抜き、兄妹は男子10人、女子8人の登録メンバー入りを果たした。最終的に出場するのはこのうち男子7人(区間)、女子5人(区間)で、「兄妹そろっての出場」を目指す。由野選手は決意する。「坂町に帰省したときも、地域の人が応援してくれた。そんな人たちに頑張っている姿を見せたい」