鉄剤「根絶できぬ」4割 血液検査導入は「賛成」7割 全国高校駅伝・監督調査

毎日新聞

血液検査導入に賛成か

 男子第70回、女子第31回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社、日本陸上競技連盟など主催)は22日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に開催される。長距離選手らの貧血対策に有効とされる「鉄剤注射」の不適切使用を根絶するため、今大会から日本陸連が全出場選手に血液検査結果の提出を義務づける対策を導入したことを受けて、毎日新聞は出場男女全105校の監督にアンケート調査を実施した。新たな対策でも不適切使用は「根絶できない」と答えた指導者が約4割に上り、指導者側に対策への期待感が広がっていない現状を示す結果となった。【伝田賢史】

 アンケートでは、血液検査導入への賛否▽今回の対策で不適切な鉄剤注射を根絶できると思うか――などを聞いた。17日現在で男子は58校中44校、女子は47校中41校の指導者から回答を得た。回答率は81%。

 血液検査の導入で不適切な鉄剤注射を「根絶できない」と回答した指導者は男子が22人、女子が13人で回答全体の約41%に上り、学校と懇意な医療機関が検査を行うなら改ざんは可能▽都道府県予選会など他大会での使用も考えられる――といった対策の抜け道を指摘する声が上がった。一方で「根絶できる」と答えた指導者は男子14人、女子20人と「根絶できない」の回答とほぼ同数で、「抑止力になる」「生徒保護者への認知が広がった」といった意見が聞かれた。全選手は大会後5日以内に医療機関で血液検査を受け、結果を日本陸連に報告する必要があるが、アンケートでは「大会直後に主催者指定の医療機関で一斉検査すべきだ」と、より対策の公平性を求める声があった。

 ただ、今回の血液検査導入に「賛成」と答えたのは男子27人、女子33人と約7割に及んだ。日本陸連が検査虚偽・不申告に対し、順位剥奪などの罰則措置を取る可能性を指摘していることに対しても、男女各34人(80%)が「賛成」と回答し、いずれも日本陸連の対策方針を支持した。血液検査導入に「反対」と回答したのは男子6人、女子4人で、生徒を疑っているようで不愉快▽治療目的の鉄剤注射と線引きが困難――などを理由に挙げた。

 またアンケートでは、指導した選手が鉄剤注射をしたことがあるか尋ねたところ、男子11人、女子10人が治療目的での鉄剤注射が「ある」と回答。競技力向上目的で「ある」と答えた指導者も1人だけいた。この監督は約20年前、自らの知識不足から選手1人に鉄剤注射を打たせたといい、「若い指導者に同じ過ちを繰り返さないでほしい」と訴えた。

 鉄剤注射は酸素運搬能力が上がって持久力向上効果があるとされるが、鉄分を過剰摂取すると肝臓や心臓に蓄積して重大な機能障害を起こす可能性があり、日本陸連は5月に不適切な鉄剤注射の防止に向けたガイドラインを作成した。

血液検査導入に対するアンケートの主な回答

<血液検査実施について>

・選手の健康を守り、競技の公平性を担保できるので賛成

・賛成だが、全国高校総体や都道府県予選会などにも導入すべきだ

・反対。疑われているようで不愉快。選手がかわいそうだ

・一部の学校の行為で全体が巻き込まれるのは納得できない

・治療目的での鉄剤注射まで禁止という風潮が広がらないか懸念がある

<虚偽申告、不申告に対する処分の可能性について>

・処分がないと検査をする意味がないので賛成

・処分は行き過ぎで反対だ。周知にもっと時間をかけるべきだ

・日本陸連が治療目的か競技力向上目的かをどう判断するのか、基準が示されていない

・安易に鉄剤を処方する医師を処分すべきだ

<不適切な鉄剤注射は根絶可能か>

・検査が各校任せでは、抜け道がいくらでもある

・処方する医師がいる限り、なくならない

・なくなると信じたい