チーム紹介/下 男子 伊賀白鳳 「都大路へ」思い一丸 悔しさバネに成長 /三重

毎日新聞

東京五輪男子マラソンの代表に決定したOBの中村匠吾選手も汗を流したグラウンドで練習する伊賀白鳳の選手ら=伊賀市で、衛藤達生撮影

 「勝って永洞(和季選手=3年)を胴上げしよう」。連続優勝記録が15年で途切れた11月の高校駅伝県予選会の翌日。ミーティングでは2週間後に迫る東海地区大会に気持ちを切り替える伊賀白鳳の選手たちの姿があった。中武隼一監督(35)は「東海で勝って都大路に行く。子どもたちの気持ちが100%、そこに向いた」と振り返った。

 これまでの県予選会では「勝って当たり前」と周囲から見られていた伊賀白鳳。しかし、ライバルの四日市工が年々力を付け、今年は優勝が確実視されていたわけではなかった。

 今年のチームは、昨年の都大路で力を出し切れずに不本意な成績に終わった先輩の姿を間近に見た3年生を中心に一丸となり、自主練習では前年以上の迫力で臨み、通常の練習以上のハードな内容をこなしてきた。その結果、県予選会の記録は昨年を30秒近く上回る2時間9分41秒。それでも勢いを増す四日市工に優勝を譲った。

 7人の選手の中で一番責任を感じていたのが3区を走った永洞選手だった。四日市工の選手に1分の差をつけられてしまったからだ。永洞選手は今のチームの中で昨年の都大路を走った2人のうち1人。「差をつけなければいけないのに、逆に差をつけられた」と悔しがる永洞選手を勇気づけたのは、主将の田中慎梧選手(3年)らだった。

 田中選手は「速さが際立ってスマートなチーム」(中武監督)だった最近の伊賀白鳳にはあまりみられなかった、気持ちを前面に出すタイプ。中学時代までサッカーをやっていた田中選手を中武監督は「周りを見る力がある」とそのキャプテンシーを評価する。

 2年生の時は体調不良もあり、ハードな練習ができない時期もあった。しかし腐らず、できる努力を積み重ね、今年は県予選会では4区を走り、区間賞を獲得。東海大会でも区間2位の走りで優勝に貢献し、全国大会出場を決めた。

 今年の伊賀白鳳にはポジティブで明るい選手が多い。県予選会、東海大会で1区を走り、区間賞を獲得した佐伯陽生選手(3年)は「全国大会で区間賞を取るのが目標」と飄々(ひょうひょう)と話す。また、いずれも6区を任された松本颯真選手(1年)も「同学年で全国ナンバー1を目指す」と軽やかに言い切る。

 中武監督によると、今年、県予選会で優勝を逃したことで、応援の声がかえって多く寄せられたという。東海大会では、選手たちはその声に見事に応えた。「人を喜ばせ、感動させる。誰かのために頑張るという『思い』を感じさせてくれる良いチームになった」。負けの味を知った伊賀白鳳は、ひと味違うチームになったようだ。【衛藤達生】

〔三重版〕