名門復活させた「レース勘」 仙台育英の強さ支える練習法とは? 全国高校駅伝

毎日新聞

7区で並走する仙台育英の吉居駿(右)と倉敷の長塩=京都市で2019年12月22日、猪飼健史撮影

 男子第70回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)は22日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に7区間42・195キロのコースで開かれ、仙台育英(宮城)が12年ぶり8回目の優勝を果たした。優勝8回は西脇工(兵庫)に並ぶ歴代2位タイ。東日本大震災翌年の2012年に仙台育英の主力部員が集団転校して以降、初の優勝となった。

 息詰まるトラック勝負。仙台育英のアンカー・吉居駿は、第2コーナーで並走する倉敷(岡山)・長塩の苦しげな表情を横目でうかがうと一気にスパートした。かぶっていた白い帽子を握りしめ、最後は10メートル近い差をつけて右手人さし指を高々と突き上げてフィニッシュ。3区を走った兄・吉居大と笑顔で抱き合った。

 7区の1キロ過ぎで長塩に追いつくと、吉居駿は「負ける怖さもあったが、先頭争いを楽しく走れた」という。真名子監督の「エースの吉居大、喜早に次ぐ勝負勘がある」との見立て通り、1年生らしからぬ冷静なレース運び。並走して競技場に入っても「表情に余裕がある」と真名子監督に勝利を確信させた。

 そんな逸材がそろうチームの強さを支えるのが「リズムジョグ」と呼ばれる練習法だ。徐々にペースを上げて長い距離を走る負荷トレーニングで、「タイムを設定せず、温まった体のリズムに合わせてどんどんペースを上げていく」(真名子監督)。各選手が先頭を競い合い、最後はレースさながらに激しさを増す。「前の選手を追い、後ろの選手から逃げる」走りの原点にこだわる真名子監督の指導法に、吉居駿は「かなりきついけど、サバイバル感覚で楽しい。レース勘も磨ける」。昨年の全国中学校体育大会(全中)1500メートル優勝の実力者が、練習の成果を存分に発揮した。

男子順位の推移

 東日本大震災翌年の12年、主力部員が豊川(愛知)に集団転校した。直後に赴任した真名子監督が、愛知出身の吉居兄弟ら有力選手を少しずつ集め、ようやくたどり着いた震災後初の優勝だった。さらに04年にマークした大会歴代2位の2時間1分32秒の記録にも並んだ。頼もしい選手たちが、名門復活を最高の形で成し遂げた。【伝田賢史】