胸を張れ 男子・倉敷2位 女子・興譲館4位 水島工、楽しみ33位 /岡山

毎日新聞

 京都市で22日にあった男子第70回、女子第31回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)で、前回大会覇者で男子県代表の倉敷(42年連続42回目)は、同校歴代最高タイムとなる2時間1分35秒をたたき出したが2位となり、連覇はならなかった。3区で首位に立ったが終盤に仙台育英(宮城)の猛追に遭い、最後はトラック勝負で敗れた。男子・中国地区代表で初出場した水島工は2時間7分1秒の33位。女子県代表の興譲館(21年連続21回目)は、1時間8分41秒の4位で、3年連続の入賞となった。【松室花実、戸田紗友莉】

力尽くし学校新記録

2位でフィニッシュする倉敷の長塩寛至選手=たけびしスタジアム京都で、木葉健二撮影

 並走する仙台育英(宮城)の選手の足音を聞きながら、倉敷のアンカー・長塩寛至選手(2年)は、タイミングを見定めていた。「絶対に負けられない」。勝負をかけたのはラスト1キロ付近。思い切って前に出たが、相手はピタリとついて来る。競技場に入ってからも差を付けられず、逆に最後の直線で突き放されてフィニッシュ。わずか3秒差で連覇の夢は散った。

 1区を任された石原翔太郎選手(3年)は安定した走りで先頭集団に食らいつき、流れを作った。この1年、副主将として「走りでチームを引っ張る」と練習ではいつも先頭に立ってきた。連覇への重圧も「僕たちは僕たち。挑戦する気持ちで」とはねのけ、5位でたすきをつないだ。

 2区の山下空良選手(同)が順位をキープすると、3区のケニア人留学生・フィレモン・キプラガット選手(同)が一気に先頭へ。「狙っていた」という区間賞に輝く快走で、2位に58秒の大差をつけた。そこからは必死で逃げ、4区の寺元颯一選手(同)、5区・奥野奏輝選手(同)も首位を何とか堅持。だが、6区で仙台育英の留学生選手の猛追に遭って詰め寄られると、最終7区の長塩選手は常に重圧を受けての走りになってしまった。

 「先輩方が1番でつないできてくれたのに本当に申し訳ない」。レース後、涙が止まらない長塩選手に、チームメートは「お前のせいじゃない」、新雅弘監督(58)も「よくここまで持ちこたえた」と声を掛けた。2時間1分35秒は同校歴代最高タイム。頂点には届かなかったが、力を出し切ったことは数字が示している。

悔し涙「来年は頂点」

懸命の追い上げで4位でフィニッシュする興譲館の落合莉子主将=たけびしスタジアム京都で、木葉健二撮影

 昨年と比べて順位は8位から大きく躍進したが、タイムは9秒遅かった。9年ぶりの頂点を見据えてきただけに、レース後の興譲館の選手たちの目には悔し涙があった。

 1区の森陽向選手(1年)は、先頭で競技場を飛び出したものの、中間点の3キロ付近からは「予想以上にきつくて粘れなかった」と徐々に後退。12位でたすきをつないだ。

 だが、2区でケニア人留学生のワングイ・エスター・ワンブイ選手(同)が遅れを取り戻した。1キロ付近から流れをつかみ、一気に10人抜き。「3キロすぎから(12月初旬に痛めた)腰の影響が出た」としながらも、区間3位の快走でチームを2位へ押し上げた。

 期待は高まったが、ここから我慢の展開が続く。3度目の3区となった山下穂香選手(3年)は、過去最高の順位でたすきを受けて「体に緊張が走った」。ペース配分にも苦戦して一つ順位を落とす。初の都大路となった4区・金沢彩希選手(同)も後ろを振り向かずに走ったが、2人に抜かれてしまった。

 アンカーの落合莉子主将(同)は「『3位は絶対に』と思っていた」。徐々に前方の選手との距離を詰めて3位争いを繰り広げたが、ラスト1キロで筑紫女学園(福岡)の選手に振り切られた。

 「3位と4位では大きく違う」と、選手たちは泣いた。だが、2014年の就任以来最高の4位に、藤井裕也監督(27)は目を細めて言った。「来年につながる走りになった」。この悔しさを飛躍のバネにする。

水島工、楽しみ33位

 選手たちの諦めない姿勢がうれしかった。「生徒たちに『ありがとう』という気持ちでいっぱい」。就任11年目で初出場となった水島工の有安務監督(56)はレース後、声を震わせて涙した。

 1区のエース、藤原優希選手(3年)は、序盤から先頭集団に食らいついた。6キロ付近から徐々に離されたが、終盤の下りで追い上げ、「次の人に声をかけるのを忘れるほど全力で走り切った」。目標通りの15位でたすきをつなぐと、2区の安藤勘太選手(同)は「勝つことしか頭になかった」。ラスト1キロのスパートに力を込め、順位を一つ上げた。

 ただ、3区の小見山敦成選手(同)が2キロ付近で右足をひねってしまい、「2キロ以降は体が動かなかった」。大きく順位を落とすと、挽回は難しくなった。それでも、33位でフィニッシュした和田将希主将(同)は、笑顔で言い切った。「走っている間、ずっと楽しかった」。ようやくたどり着いた都大路を楽しんで走り切れたことが、何より大きな収穫だった。


倉敷の記録

1区(10キロ)     石原翔太郎  28分56秒(5) 5位

2区(3キロ)      山下空良    8分15秒(8) 5位

3区(8.1075キロ) キプラガット 22分44秒(1) 1位

4区(8.0875キロ) 寺元颯一   23分30秒(14) 1位

5区(3キロ)      奥野奏輝    8分46秒(13) 1位

6区(5キロ)      石井大揮   14分49秒(17) 1位

7区(5キロ)      長塩寛至   14分35秒(14) 2位

33位でフィニッシュする水島工の和田将希主将=たけびしスタジアム京都で、小坂春乃撮影

記録=2時間1分35秒 ※丸囲み数字は区間順位

水島工の記録

1区(10キロ)     藤原優希  29分33秒(15) 15位

2区(3キロ)      安藤勘太   8分26秒(19) 14位

3区(8.1075キロ) 小見山敦成 25分19秒(48) 29位

4区(8.0875キロ) 土倉光貴  24分28秒(44) 32位

5区(3キロ)      松本敦靖   9分 3秒(38) 32位

6区(5キロ)      長谷川舜  15分15秒(45) 33位

7区(5キロ)      和田将希  14分57秒(28) 33位

記録=2時間7分1秒 ※丸囲み数字は区間順位

興譲館の記録

1区(6キロ)      森陽向  20分 2秒(12) 12位

2区(4.0975キロ) ワングイ 12分31秒(3)  2位

3区(3キロ)      山下穂香  9分55秒(10)  3位

4区(3キロ)      金沢彩希  9分44秒(7)  5位

5区(5キロ)      落合莉子 16分29秒(12)  4位

記録=1時間8分41秒 ※丸囲み数字は区間順位