仙台育英、男女V 偉業の背景 女子、「追い上げ作戦」で粘り強く 男子、倉敷序盤リードは想定内 /宮城

毎日新聞

1位でフィニッシュし、釜石慶太監督(左)と笑顔で喜び合う木村梨七主将=京都市右京区のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)で

 22日に開かれた男子第70回、女子第31回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社、日本陸連、全国高体連などが主催)で、県代表の仙台育英が26年ぶりとなる男女同時優勝を果たした。全国の強豪がひしめく中、男女ともに仙台育英の戦略が見事にはまった。その裏には、監督や選手たちのライバルやコースに対する深い分析と日々の厳しい練習があった。【藤田花】

 ◆女子

「追い上げ作戦」で粘り強く うれしい誤算 1区で貯金

 女子のライバルは釜石慶太監督が「10回勝負したら9回は負ける。その1回に懸けた」と話す前年王者の神村学園(鹿児島)。釜石監督は、全国高校総体3000メートルで日本人トップの4位に輝いた実力者の木村梨七主将(3年)を最終5区に配置。前半で何とか神村学園に食らいつき、最後で追い上げを図る作戦だった。

 「うれしい誤算」だったのは、3区までの予想以上の好走だった。1区の小海遥選手(2年)が首位でたすきをつなぎ、区間14位の神村学園・木之下沙椰選手(2年)と34秒差をつけ、チームに「貯金」をもたらした。

 米沢奈々香選手(1年)は留学生が多い2区を粘り強く走り、3位に踏みとどまった。2年連続で3区を走った清水萌選手(3年)は昨年の経験から「残り1キロの上り坂で相手選手の脚が疲れたところを狙う」作戦を立てていた。狙い通り、最後の上り坂でスパートし、神村学園を抜き去って1位で4区・山中菜摘選手(1年)にたすきをつないだ。

 アンカーの木村主将に神村学園から5秒差のリードでたすきをつないだ時点で勝利は手の内にあった。木村主将は力強い走りで、神村学園の中須瑠菜選手(2年)を寄せ付けずテープを切った。

 ◆男子

優勝のテープを切り、真名子圭監督と抱き合って喜ぶ吉居駿恭選手(右)=京都市右京区のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)で

倉敷序盤リードは想定内 最後の200メートルで勝負根性

 一方、男子は昨年優勝の倉敷(岡山)が3区で実力のあるケニア人留学生、フィレモン・キプラガット選手(3年)を走らせるため、序盤でリードされることは想定内だった。

 実際に4区中継点で仙台育英の吉居大和選手(3年)が3位でたすきを渡した時点で、先頭の倉敷から1分5秒差をつけられていた。しかし、4区の菊地駿介主将(3年)と5区の山平怜生選手(2年)が粘り強い走りで倉敷との差を詰めた。

 6区でムチリ・ディラング選手(2年)が走り始めた時の倉敷とのタイム差は48秒。ディラング選手は「首位に立つのが自分の仕事」と力を込め、高低差のある難しいコースを区間新の走りで猛追。後半の下り坂で差を詰めると、倉敷の石井大揮選手(3年)を射程圏内に捉え、5秒差でたすきを渡した。

 アンカー・吉居駿恭選手(1年)は倉敷・長塩寛至選手(2年)にすぐ追いついたが、無理して抜かず、トラック勝負に持ち込んだ。抜群のスプリント能力を持つ吉居駿選手にアンカーを託した真名子圭監督の狙い通り、最後の約200メートルで一気に長塩選手を突き放した。抜群の勝負根性を見せた1年生の出現は仙台育英のさらなる飛躍を予感させるものだった。