華やかな宝塚歌劇の舞台で人気を集めるのが、女性でありながらりりしい雰囲気で男性を演じる「男役」です。なかでも月組の珠城りょうさんは、入団8年目の若さで次々と大役を任され、将来を期待される男役スターの一人です。春の全国ツアー公演で主役を務める珠城さんに、舞台にかける思いを聞きました。【田中博子】
☆全国ツアーのミュージカル「激情−ホセとカルメン」はどんな話ですか。
★私が演じるホセはまじめな青年だったのに、カルメンという女性に恋をして振り回され、道を外れてしまう。情熱のままに生きる男です。ずっとやりたいと思っていた男らしい役ができるので、体当たりで挑戦しようと思います。
☆どんな男役を目指していますか。
★人の心を動かすのは、やはり人の心です。芝居も歌も踊りも形だけにこだわるのではなく、心を大切にしたい。体中からわき出るものを表現できるようになりたいです。今後はさらに男らしさを追求していきたいと思っています。
☆最近、大役を任される機会が増えましたね。
★「結果を出さなくては」とか「期待に応えなくては」と自分で自分にプレッシャーをかけてしまい、演じることを楽しめない時期が長くありました。でも昨年末に他の組のスターさんたちと共演した時に刺激を受けて、吹っ切れることができました。後ろを振り返る余裕はない、覚悟を決めて歩んでいかなければいけないと思いました。
☆宝塚歌劇団は上下関係が厳しいと聞きます。
★宝塚の品格は、厳しい上下関係による規律の正しさで守られています。私が心がけているのは、すべての上級生を尊敬するということ。「舞台の上で謙虚である必要はない」と言われますが、舞台を降りれば謙虚であるべきだと思います。
☆毎小読者にメッセージをお願いします。
★夢があるなら、あきらめずに挑戦してほしいです。私は宝塚音楽学校(宝塚歌劇団に入団するための学校)に3回目の受験で合格しました。決してスムーズに来たわけではありません。思い通りにいかないこともありますが、努力をしていれば絶対に見てくれている人がいます。マイナスの気持ちでスタートしてもうまくいきません。希望を持って、何事にも恐れずにチャレンジしてください。
公演情報
月組公演「激情−ホセとカルメン」(柴田侑宏脚本、謝珠栄演出・振付)「アパショナード!!3」(藤井大介作・演出)
<上演日程>3月19〜21日大阪、24日岩手・盛岡、26、27日愛知・名古屋、28日岐阜・羽島、30日愛知・幸田、31日三重・津、4月2日富山、3日石川・金沢、5日茨城・ひたちなか、6日福島・いわき、8日神奈川・横須賀、9、10日千葉・市川、12日新潟、13日新潟・上越、14日長野、16、17日福岡。問い合わせは宝塚歌劇インフォメーションセンター(電話0570・00・5100)。
プロフィル◇
愛知県蒲郡市出身。愛知・私立光ケ丘女子高校出身。2008年に宝塚歌劇団に入団した、月組の男役人気スター。身長は172センチメートル。趣味は映画・舞台鑑賞、ドライブ。好きな色は青、白、黒、シャンパンゴールド。愛称は「りょう」「たまき」。