一年を通して製造作業
Q 花火職人は冬の間何をしているのですか?(千葉県柏市、小嶋茅都さん、小4)
A もうすぐ花火大会のシーズンがやってきますね。確かに、花火大会は夏のものというイメージがあるので、花火を打ち上げる職人さんは冬の間は仕事を休んでいるのかなと思ってしまいますね。
でも「『花火師』と呼ばれる人の仕事は、実は花火を打ち上げるだけではありません」と言うのは、花火を安全に楽しむための検査や教育を行う、日本煙火協会の河野晴行さん。「打ち上げ花火を作ることができなければ本当の『花火師』とはいえません」と説明します。
花火作りには主に四つの工程があり、製造作業は一年を通して、全て手作業で行われています。一つ目は火薬の配合です。花火の色は、配合する薬品の種類と割合によって決まるので、夜空に映える鮮やかな色が出るよう、薬品を決められた分量で混ぜ合わせて粉末の火薬を作ります。
二つ目は火薬の成形作業です。混ぜ合わせてできた火薬を小さな粒にし、回転する釜に入れて水分を加えながらさらに火薬をまぶし大きくします。それを天日で乾燥させ、また釜に入れてと繰り返します。こうしてできたものを「星」と呼び、花火の形を表現する火薬の塊になります。
三つ目の工程が組み立てです。半分に割った空の花火玉の中に隙間なく「星」を並べ、中心部には花火を開かせる火薬を入れます。もう半分の花火玉とあわせて一つの花火玉ができます。
最後の工程が仕上げです。花火玉の表面にクラフト紙をのりで貼り、乾燥させます。この作業を何度も繰り返すことで、花火玉が完成します。これ以外にも花火を作るにはいろいろな準備作業があり、特に乾燥が必要とされる作業は、冬から春にかけての空気の乾いた時期によくするそうです。
ちなみに花火職人として花火を打ち上げるには、「煙火消費保安手帳」を取る必要があります。これは、花火を打ち上げる技能があり、事故を防ぐための安全に関する講習を受けた人に与えられます。手帳を持つ人は現在、全国に約1万8000人いて、最近では女性の花火師も活躍しているそうです。【田嶋夏希】