南方熊楠

独学の知の巨人 今年で生誕150年

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 明治めいじから昭和しょうわにかけて、すぐれた記憶力きおくりょくでさまざまな分野ぶんや研究けんきゅうをし、「ある百科事典ひゃっかじてん」とばれた南方熊楠みなかたくまぐす(1867~1941ねん)という研究者けんきゅうしゃがいました。今年ことし熊楠くまぐすまれてから150ねん。どんなひとだったのでしょうか。【御園生枝里みそのうえり

学校中退がっこうちゅうたい海外かいがい

 熊楠くまぐすは1867ねん和歌山市わかやまし金物商かなものしょう次男じなんとしてまれました。10だいころ百科事典ひゃっかじてんなどをうつして勉強べんきょうしたといいます。もり動植物どうしょくぶつ観察かんさつしたり採集さいしゅうしたりすることもきで、夢中むちゅうになりすぎて何日なんにちかえらないこともありました。

 大学予備門だいがくよびもん現在げんざい東京大学教養学部とうきょうだいがくきょうようがくぶ)へ進学しんがくしましたが、体調たいちょうくずして退学たいがく父親ちちおやのおかねで1886ねんにアメリカにかいます。しかしアメリカでも学校がっこう退学たいがくし、科学雑誌かがくざっしんだり植物採集しょくぶつさいしゅうをしたりして、独学どくがく研究けんきゅうつづけました。

 92ねんにはイギリスへわたり、やく年間過ねんかんすごしました。大英博物館だいえいはくぶつかん世界中せかいじゅう書籍しょせきみ、うつして研究けんきゅう科学誌かがくし投稿とうこうして掲載けいさいされた論考ろんこうかずは、イギリスの科学誌かがくし「ネイチャー」で51ぽんべつ雑誌ざっしでは324ほん膨大ぼうだいでした。

環境かんきょうとの共存訴きょうそんうったえる

 1900ねん日本にっぽん帰国きこく。04ねんには和歌山県田辺市わかやまけんたなべしまいをさだめました。06ねん、39さい結婚けっこん。1なんじょめぐまれています。

 当時とうじ明治政府めいじせいふ神社じんじゃ合併がっぺいすすめていました。しかし熊楠くまぐすは、神社じんじゃこわせばまわりのもりやそこにすむ生物せいぶつに、人間にんげん農業のうぎょう漁業ぎょぎょうにも影響えいきょうおよぼすと、反対はんたいしました。人間生活にんげんせいかつ環境かんきょう共存きょうそん目指めざかんがえで、いまでこそよく使つかわれる「エコロジー」という言葉ことば日本にっぽんでほとんどはじめてのころ使つかいました。

 生涯しょうがいつうじてつづけたのが、なぞおお不思議ふしぎもの粘菌ねんきん」の研究けんきゅうです。10しゅあたらしい粘菌ねんきん発見はっけん。29ねんには粘菌ねんきんについて昭和天皇しょうわてんのうにご進講しんこう講義こうぎすること)しました。

 研究けんきゅう分野ぶんや博物学はくぶつがくから民俗学みんぞくがく生物学せいぶつがく幅広はばひろく、自由じゆう研究けんきゅうつづけるため、しょくさそわれてもことわることをつらぬとおし、41ねんくなりました。

粘菌ねんきんきな小学生しょうがくせい

 大阪府高槻市立桃園小おおさかふたかつきしりつとうえんしょうねん片岡連かたおかれんさんはおとうさんの祥三しょうぞうさん(44)やおとうとしゅうちゃん(3)と一緒いっしょに、もり粘菌ねんきんったり、いえかえって観察かんさつしたりしています。粘菌ねんきん魅力みりょくを「おおきくなるのに、細胞さいぼうひとつなのが面白おもしろい」とかたります。

 粘菌ねんきんつけるには、梅雨つゆあきやま公園こうえんで、じめじめしたところをさがします。ルーペで粘菌ねんきんつけたら、へらやカッターで採取さいしゅします。粘菌ねんきん巨大化きょだいかした「変形体へんけいたい」をいえそだて、えさのオートミールをいたり、ひかりてたりして、観察かんさつしました。

 れんさんは幼稚園ようちえんとき、ミジンコに興味きょうみったのがきっかけで、ちいさなものきになりました。粘菌ねんきんなか一番好いちばんすきなのは「ルリホコリ」。奈良ならのおばあちゃんのいえにわで、ふゆあいだにコンテナにれておき、梅雨つゆにどんな粘菌ねんきんがいるか観察かんさつすることもたのしみにしています。

 ●粘菌ねんきん授業じゅぎょう

 昨年さくねん10がつ31にち大阪市立東中川小学校おおさかしりつひがしなかがわしょうがっこうで6年生ねんせい対象たいしょうに、粘菌ねんきんについての授業じゅぎょうがありました。人形劇にんぎょうげき脚本きゃくほんがけた経験けいけんのある片岡祥三かたおかしょうぞうさんと、粘菌ねんきんくわしい兵庫県姫路市自然観察ひょうごけんひめじししぜんかんさつもり井内由美いうちゆみさんが先生役せんせいやくつとめました。

 片岡かたおかさんが、漫画まんが得意とくい東中川小ひがしなかがわしょう樗木厚先生おおてきあつしせんせいつくった「粘菌ねんきんロンと楠公少年くすきみしょうねん」という物語ものがたりを、どもたちは授業じゅぎょうまえみました。

 岡田光平おかたこうへいさんは「いろうごきが面白おもしろい」。中村歩なかむらあゆむさんは「変形体へんけいたいになってくっついたりかれたり、胞子ほうしになってえたり、粘菌ねんきん一生いっしょうがすごい」とはなしました。


 [粘菌ねんきん

 変形菌へんけいきんともばれますが、キノコなどの菌類きんるいとはちがいます。動物どうぶつのようにうごくこともありますが、動物どうぶつでもありません。どちらの性質せいしつあわせもつ、不思議ふしぎものです。まわりに細菌さいきんなどのえさがあるときは、アメーバのようにうごまわってえさべてかずやします。ほかのアメーバとくっついておおきくなったり、キノコのような姿すがたになって胞子ほうしえたりします。

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