花粉症の人には、つらい季節になりました。代表的なスギ、ヒノキの花粉が飛ぶ量は、今年は西日本で多く、東日本では去年より少ないとの予報が出ています。そもそもこれらの木は、どれぐらい植えられているのでしょうか。今回は、スギの人工林面積を比べてみました。【まとめ・武本亮子】
人工林とは、材木を作ることを目的に、人の手で苗木を植えるなどして育てた森林のことです。戦後、成長が速く、真っすぐ育つため材木としても使いやすいスギやヒノキがたくさん植えられました。林野庁が発表している2012年3月31日時点でのスギの人工林面積を見てみると、1位の秋田県が2位以下を大きく引き離しています。
1位 秋田県 36万7469ヘクタール
◆1960年代から盛んに植林
県の面積の7割を森林が占め、その約半分が人工林で、ほとんどがスギです。県内で全国植樹祭が開かれたのを機に60年代末から広葉樹を切ってスギを植える取り組みが進められました。年明けに開庁した能代市役所も秋田杉を使っています。
11位 新潟県 14万5488ヘクタール
◆「木育」に役立てて
県森林組合連合会などが先月、県産の越後杉を使った積み木1万6000ピースやつくえ、イスなどを新潟市に贈りました。木とふれあうことで豊かな心を育む「木育」が目的です。保育園児は「いい匂い」と積み木で遊んでいました。
41位 長崎県 3万968ヘクタール
◆「避粉」にいらっしゃい
スギ花粉に苦しむ人たちに、きれいな空気を味わってもらおうと、長崎県平戸市の的山大島で3月、「避粉地体験ツアー」が実施されます。島内にスギ林が少なく、本土からも離れているため、風に乗って花粉が運ばれてくる心配もないそうです。
切ってしまえばいいの?
花粉症に苦しむ人の中には、「スギの木を切ってしまえばいいのに」と思う人がいるかもしれません。しかしスギは、成長が速く、二酸化炭素をたくさん吸収するため、地球温暖化防止の面で大切な存在です。雨水を蓄える役割や土砂災害を減らす機能も果たしているのです。現在は、花粉が少ない品種を開発したり、少しずつ違う木に植え替える作業を進めたりしています。
上位10県
順位 都道府県 面積
1 秋田県 36万7469ヘクタール
2 宮崎県 23万9113ヘクタール
3 岩手県 20万2871ヘクタール
4 青森県 20万1036ヘクタール
5 福島県 18万4304ヘクタール
6 山形県 15万9976ヘクタール
7 高知県 15万5214ヘクタール
8 鹿児島県 15万5153ヘクタール
9 熊本県 15万4147ヘクタール
10 大分県 14万9914ヘクタール
下位10都道府県
順位 都道府県 面積
1 沖縄県 248ヘクタール
2 香川県 1909ヘクタール
3 大阪府 7745ヘクタール
4 神奈川県 1万9154ヘクタール
5 東京都 2万2490ヘクタール
6 山梨県 2万6059ヘクタール
7 長崎県 3万0968ヘクタール
8 北海道 3万2571ヘクタール
9 埼玉県 3万6277ヘクタール
10 佐賀県 4万1379ヘクタール
(林野庁「都道府県別スギ・ヒノキ人工林面積」より)参考にしたホームページ:林野庁、全国森林組合連合会「森林は誰のもの?」