2015年に実施された最新の国勢調査?によると、日本の総人口は約1億2709万人で、前回の調査から約96万人減りました。総人口が減ったのは1920年に調査を始めてから初めてです。大阪府など大都市でも減っています。人口減は今後急速に進み、2050年ごろには1億人を割るとみられています。【長岡平助】
進む少子化・高齢化
人口減の原因は、生まれる子どもの数が減る少子化にあるんだぜ。最も多かった1940年代末には250万人を超えていたけど、2016年は約98万人。総人口に占める15歳未満の割合は12・7%(約1617万人)にすぎないんだ!
一方で、65歳以上のお年寄りの数は増え続けているんだぜ(高齢化)。医療が進んだ結果、長生きできるようになったためだ。現在、総人口に占める割合は26%(約3400万人)を超えているんだ!
これまではお年寄りが増えることで、人口減は見えにくくなっていた! だけど国勢調査の結果からは、それでは覆い隠せないほど、生まれる子どもの数が減り始めていることが分かるんだぜ。
生まれる子どもが減る理由
子どもの数が減った理由の一つには、女性の社会進出が挙げられるの。家事や子育てを女性の役割とする価値観が、戦後変わったわ。外で働く女性が増えたの。でも日本はほかの先進国に比べて労働時間がむやみに長かったり、一度仕事を離れると職場に戻るのが難しかったりするの。仕事と出産・子育ての両立がしづらく、子どもをあきらめる人が少なくないわ。
また東京などの大都市に、若者が集中するのも原因ね。ほかの先進国に比べて、日本は進学や就職で多くの若者が大都市に集まり、住み続ける傾向にあるの。大都市では人が多すぎて、保育所などの子育て支援が行き届きづらく、子どもを持ちたくても持てない人がいるわ。一方、若い人がいなくなった地方は、子どもが生まれずに人口が減っているの。
日本の大ピンチ!?
人口が減るとモノを買う人が減り、国内でモノが売れにくくなる。またモノを作る人が減るため、生産力が下がると考えられている。
年金や医療、介護など、若い人の働きを前提にした制度も危うくなる。お年寄りの割合が増えるため、少数の若い人が多くのお年寄りを支える形になる。現在と同じ水準で提供するのが難しくなる。
一定の人口を前提に作られた学校や上下水道、道路といった公共サービスの維持も困難になる。鉄道やバスなどの公共交通機関も運営が厳しくなる。現在、少なくない地方で、人口減のあおりを受けた廃線などが進んでいる。
人口ピラミッドとは?
左は人口を年代別に分けたときにできる分布グラフで、人口ピラミッドと呼ばれます。子どもが多くいた1950年代に比べると、今も若い人はかなり少なくなっています。だけど……2050年を見ると、もっと少なくなっているのがよく分かります。
目指せ!活力ある社会
人口減を食い止めるため、国は「1億総活躍社会?」という目標を掲げ、少子化対策を行っているよ。
政府は約2000万人いるとされる雇用が不安定な人たちの待遇を良くして、お金などの不安を和らげようとしているよ。また企業の長時間労働を見直したり、保育所などの子育て支援を充実させようとしたりしているよ。
IT(情報技術)やロボットなどの新しい技術を使い、労働の効率化も進めたいと考えているんだ。豊富な経験を持つお年寄りに、引き続き働いてもらおうともしているよ。
また「地方創生」といって、魅力ある地方をつくって大都市に人口が集中するのを防ごうともしているよ。
■?知りたいワード
国勢調査
日本に住むすべての人の基礎データを集める調査。生年月日や性別、仕事などを世帯ごとに調べる。5年に1度実施される。
1億総活躍社会
2015年に発足した第3次安倍晋三改造内閣の大きな方針の一つ。50年後も人口1億人を維持し、だれもが活躍できる社会を目指している。