14歳の別府倫太郎さんは、9歳の時にインターネット上で「別府新聞」を一人で始めました。3年間にわたり、美しい自然に囲まれた日々の生活の中で感じたことをつづり、初めての著書「別府倫太郎」にまとめ、出版しました。【田嶋夏希】
☆「別府新聞」はどのように始まったのですか。
★何かを訴えようと狙ったものではなく、初めは紙に手書きで思いついたことをつづっていました。パソコンを触ることやプログラミングにも興味があったので、ホームページを作ってみました。もやもやした思いがあった時に書きためたものを、ウェブの「別府新聞」があるから載せてみようかなと思い、それから自分の思いを載せるところとして意識するようになりました。
☆本のタイトルはどのように決めましたか。
★幼い時に本を出すことについて考えていたことがあって、タイトルは「別府倫太郎」しかないと思っていたことを不意に思い出しました。それから、小さい頃から今まで、同じ視点で書いていても書き方がバラバラだったり、矛盾やごちゃ混ぜの部分もあったりするけど、書く人が同じということは一つ共通しています。自分は自分でしかないという思いから、「別府倫太郎」がふさわしいんじゃないかと思いました。
☆自分の本を手にしてどんなことを思いましたか。
★川端康成さんの本が好きで読むと落ち着きます。本を介して川端さんの存在を感じて、見守ってもらっているという感覚があります。同じように本として出版できたのはうれしく感じます。
☆著書の中に出てくる「生きるって何? 死って何? 病気とは何? ずっと心の中からわいてきます」というところが印象的です。
★病気になったからというのではなく、死はそこにあるもので、明日死ぬかもしれないし、何をもって死というのかも分からない。そういう分からないものが自分の中に存在することが、思想の源になっていると気づかされます。分からないものを考えることは今も変わらず、嫌でも考えてしまいます。
☆これからどんなものを書きたいですか。
★そこにあるものを書かざるを得ない私なので、プロフィルには「生まれたときから書き手」と書いています。今は短編小説や詩や日記も書いていますが、その積み重ねが長編小説になったらいいなと思います。いろいろなものを見て感じることも書くことなのではないかと思っているので、ジャンルを絞らずに書いていきたいです。
プロフィル
2002年埼玉県生まれ。新潟県十日町市在住。5歳の時に突然、全身の毛が抜ける脱毛症を発症、小児ネフローゼ症候群という腎臓の病気も抱える。小3の時に学校へ行かないことを選ぶ。9~12歳の間、インターネット上の新聞「別府新聞」を発行していた。個人誌「文芸雪月花」執筆中。