1本の電線に止まるから
Q カラスなどの鳥は、電線に止まって感電しないのかな?(東京都練馬区、小1男子)
A ほとんどの地域で、空を見上げると何本もの電線が張り巡らされています。これらの電線は発電所で作られた電気をそれぞれの家や工場、ビルなどに送っています。
電気を送る力はボルトで表され、電圧と言います。発電所で作られた電気は最大で50万ボルトもの高い電圧で送り出され、電線を伝って変電所(電圧を変える施設)をいくつか通りながら少しずつ電圧が下げられます。家庭には100~200ボルトの電圧で電気が届くようになっています。
感電とは人や動物の体に電気が流れて、痛みを感じたり、体がまひしたりすることです。家庭に届く100ボルトの電圧でも、正しく使わなければ命に危険が及ぶこともあるのです。
では、なぜ電線に止まる鳥は感電しないのでしょうか。中部電力広報部の担当者は「鳥は一つの電線に止まっているから感電しないのです」と話します。電気は電圧の高い方から低い方へ流れる性質があります。1本の電線上の鳥が触れた右足と左足の地点では、電圧の高さに違いがほとんどありません。そのため、電気は鳥の足に伝わることなく、電線上のもっと電圧の低い方へ向かって流れていきます。
電気には、より電気の流れやすいところを通るという性質もあります。電線と鳥の体では、電線の方が電気が通りやすいため、鳥の体には電気が流れないのです。
ただし、鳥が羽を広げて別の電線に触れたり、2本の電線にまたいで止まったりした場合は、触れた二つの地点に電圧の差ができてしまうため、電気は鳥の体を通って電圧の高い方から低い方へ流れていき、感電してしまいます。
電線に触れると感電するおそれがあるのは、人間も同じです。電線にからまった物を取ろうとして、地面に立つ人が枝などで電線に触れると、電線と地面との間に電圧の差があるため、電気は枝から人間の体を通って流れていき、感電します。中部電力の担当者は「電線に引っかかった物を見つけたら、絶対に触らずに、周りの大人に頼んで、電力会社に連絡してください」と教えてくれました。(小丸朋恵)