実験器具が、親しみやすい顔をしたキャラクターとして登場する図鑑「ビーカーくんとそのなかまたち」が好評です。作者の「うえたに夫婦」は実際の夫婦によるユニット。お話とイラストを夫の上谷祐樹さんが担当、妻の千尋さんはイラストに色を塗り、グッズ製作をしています。130以上もある楽しいキャラクターについて聞きました。【田嶋夏希】
☆祐樹さんは大手化粧品会社の研究員でした。
★祐樹さん 奥さんがアクセサリーなどを作ってフリーマーケットに出品していたのを手伝うことがありました。売っている人たちが皆楽しそうだったこと、小さいころから絵を描くのが好きだったこともあり、キャラクターを作ってみようと思いました。
☆なぜビーカーを主人公に?
★祐樹さん 研究室に一番多くあって、よく使うのがビーカーです。サイズも種類もいろいろなので、キャラクターを増やしやすいと思いました。
☆特にお気に入りのキャラクターはいますか。
★千尋さん 底が丸いナスフラスコです。形が好きです。
★祐樹さん 「電子てんびんに付いている水準器の中の気泡くん」です。気泡が真ん中にあると置かれた場所が水平なのですが、絶対に真ん中にはいないところが好きです。理系の人は「分かる」と言ってくれます。
☆個性豊かなキャラクターはどうやって考えますか。
★祐樹さん その器具の特徴から直感で決めることが多いです。例えば分液ろうとという器具は、液体を混ぜるために激しく振って使います。そこから、かんしゃくを起こしやすいちょっと怖い顔をした「分液ろうとマダム」というキャラクターにしました。
☆読者からの反応は。
★千尋さん 思っていたよりも小さい子も理科の入門書として読んでくれています。
★祐樹さん 小学生の子から「この本のおかげで理科が好きになりました」という手紙をもらって、うれしくてお財布に入れていつも持ち歩いています。
☆お話を作る時に心がけていることは。
★千尋さん 専門的すぎる単語は使わないようにしています。
★祐樹さん 子どもたちに理科を身近に感じてもらえるようにしながら、理系の人にも共感してもらえる、ちょっと細かいところも入れています。
☆これから作ってみたいお話はありますか。
★祐樹さん 理科の要素を入れた少し長い物語に挑戦したいです。「これを読んで理科に興味を持ち、ノーベル賞を受賞した」という人が出てくれたらいいなと思っています。
プロフィル
理系の夫・上谷祐樹さんと、理系ではない「元体育会系」の妻・千尋さんによる2人組。2人とも1984年生まれ、奈良県出身。10月に「ピカピカヒーローせっけんくん」発売。