たくさんの背骨とウロコに秘密
Q ヘビには骨がありますか? あるならどうしてにょろにょろ動けるのですか?(千葉県、小6、京菜々美さん、小3、彩葉さん)
A ヘビは手足がなく、体をくねらせて進みます。どうやって動くのか、東京都台東区にある上野動物園で、爬虫類の飼育展示を担当している坂田修一さんに聞きました。
ヘビには骨があります。でも、肩や腰の骨はなくなっていて、頭以外はすべて背骨です。背骨は通常120~240個、多いものでは500個以上の骨からできています。細かく分かれているので、体全体をしなやかに動かすことができます。
体の表面をおおうウロコにも秘密があります。背中側のウロコは細かいですが、おなか側は一枚一枚の幅が広くて大きく、ツルツルすべりやすい「腹板」です。
腹板と背中側の細かいウロコの境目は、少し角があって地面にひっかかるようになっています。ヘビは、このひっかかりの一点を脚のように使い、それ以外の部分をすべらせて前に進む……ということを繰り返して、体を前に進めています。つまり、体のどの部分でも、脚の役割ができるのです。
もともとトカゲやヘビなどが属する、有鱗目の仲間は、脚を持つものであっても、胴体をくねらせながら歩きます。特に、急いで進むときには胴体を速くくねらせます。ちなみに哺乳類などは、四つ足で歩くとき胴体はまっすぐのままです。
ヘビは現在、3000種類以上います。世界中にいて、すむ環境も、森、砂漠、海、地中、木の上などさまざまです。坂田さんは「生き物の進化というと、鳥が翼を得て飛べるようになったりと、体に新しいパーツが加わって繁栄するイメージがあります。しかしヘビの場合は、もともと脚を持っていたのに、脚をなくして成功し、繁栄しました」と話しています。
ヘビの脚がなぜなくなったのかについては、長い間研究されていますが、はっきりとはわかっていません。「イルカやクジラのように、海で暮らすようになって脚がなくなり、それから陸に戻ってきた」「地中で暮らすようになり、脚が邪魔になってなくなった」などの説がありますが、最近の研究では「陸上で暮らしていて脚がなくなった」という説が有力です。【大井明子】