毎小で連載中の「てつがくカフェ」の筆者が3月末、千葉県柏市の「柏の葉 T-SITE」に勢ぞろいしました。連載を本にした「子どもの哲学」の第2弾「この世界のしくみ」(毎日新聞出版)の出版記念イベント「出張てつがくカフェ」で、親子14組が筆者のコーノさんらと哲学しました。
いつもは似顔絵で紙面に登場するツチヤさん、コーノさん、ゴードさん、ムラセさん、マツカワさんの5人が「似顔絵と似ていますか?」などとあいさつし、会場はなごやかな雰囲気に包まれました。哲学対話について説明したのはゴードさんです。「なんでみんなで対話するのか。意見を出し合うと、自分では思いつかなかったことがわかるからです」。そのため、自分の意見を言うだけでなく、話している人に質問をしてもっと聞くこと、それも大事なことだという説明もありました。
この日の「問い」は三つでした。
▽「心」ってなんだろう?▽「仲間」って必要なの?▽なぜ「成績」をつけるの?--。幼稚園から小学3年まで、小学4年から中学生、大人の3グループに分かれ、筆者も参加して対話が始まりました。
低学年中心のグループで「成績」について話し合いを始めると、「自分の成績を人に言うことも、人の成績を見ることもだめと学校の先生に言われている」という話が出ました。「人と比べた結果が成績なのに、先生はなぜそう言うのか」などが話題になりました。4年以上は「仲間」について話しました。何かをする時に一緒に行動する人は仲間? 仲間と友達は同じ? 仲良くないと仲間ではない? 一つの問いからたくさんの問いが生まれました。
1時間あまりの対話の時間を終え、コーノさんが哲学対話の感想を聞くと、ある女の子は「自分の額縁の外側を見られる」と答えました。「額縁って何?」「自分が考えていること」
「成績」について語り合った大人の一人は「哲学は難しいものだと思っていましたが、今日は面白かった」と感想を述べました。コーノさんは言いました。「難しいものです。ギリシャの哲学者の対話と同じことを、わかりやすい言葉を使ってやっているだけです。でも、『なぜ』と一歩深めれば哲学。普段から気軽に『なぜ』と考えてみてください」
■ツチヤさん…土屋陽介
確かなものは何もないと思ったのが、哲学との出会い。学校で哲学対話をする落語好き。開智日本橋学園中教諭
■コーノさん…河野哲也
心とからだの関係に関心がある。子どもと哲学の話し合(はな あ)いをするのが好き。イヌと走るのが趣味。立教大教授
■ゴードさん…神戸和佳子
なぜ生きるのか考えていたら、哲学者に。口癖は「そもそも」。散歩と風呂と歌が好き。東京大学大学院生
■ムラセさん…村瀬智之
考える事が好きで哲学を学んだ。賢い人はどんな人かを考え中。ラジオを愛する30代。東京高専准教授
■マツカワさん…松川絵里
科学と社会の関係に関心がある。少食なのに食いしん坊。哲学対話を開催する団体「カフェフィロ」副代表
新刊「この世界のしくみ」を5人にプレゼント
「この世界のしくみ 子どもの哲学2」(毎日新聞出版、1404円)を読者5人にプレゼントします。連載「てつがくカフェ」の感想や、筆者のコーノさん、ツチヤさん、ムラセさん、ゴードさん、マツカワさんへのメッセージ、「てつがくカフェ」で考えたい「問い」を書いて応募してください。
はがきか手紙に、▽感想や問い▽住所▽名前▽学年--を書いて、〒100-8051(住所不要です)「この世界のしくみ」係まで。4月20日必着。
◆哲学カフェは、一つだけの正解がない問いを語り合う哲学対話です。