「あ」~「ん」の46文字全てを1回ずつ使って、夏休みの思い出をつづりましょう。一度使った文字は二度と使えない「パングラム」という方法です。言葉遊びの達人で歌人の山田航さんに例文を作ってもらいました。【田嶋夏希】
とりあえず「夏休みの思い出は」で始めた山田さん。「て」を「で」の代わりにします。これでまず、「な」「つ」「や」「す」「み」「の」「お」「も」「い」「て」「は」の文字を1回ずつ使ったことになります。
「夏っぽいものをつなげていこう」と考え始めました。「むしとり」「そうめん」「ゆかた」
はてさて、ここで山田さんは悩み始めました。
「うんうん。ええと、それで余るのは、『ぬ』。『ぬ』……?!」
そして出てきたのが「沼」。さて、どんな文章になったのでしょう。
夏休みの思い出は
朝虫取り
昼そうめん
夜更けごろに
浴衣着せられ
骨をくわえ
沼地へ
教えてくれた人
「昼そうめん」までは、よくある夏の思い出という感じですが、「夜更けごろ」からだんだん怪しくなり、予想外のストーリーになりました。制約がある中で、思いもよらない物語が生まれる。それがパングラムのおもしろさです。1文字ずつ書いた46枚のカードを作り、入れ替えながら考えるのがおすすめです。=2面につづく
◆教えてくれた人
山田航さん
歌人。言葉遊びの本に「ことばおてだまジャグリング」がある。