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的川博士の銀河教室

宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。

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530 アポロ8号 月から見た地球

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宇宙船からメリークリスマス

 今から50年前(1968年)のクリスマスイブ。3人の飛行士が月を周回する軌道(きどう)上にいました。人類初の有人月飛行です。アポロ8号。搭乗(とうじょう)したクルーは、フランク・ボーマン、ジム・ラベル、ビル・アンダース(写真1)。

 そしてそれは突然(とつぜん)目の前に現れました。「うわあ、すごいぞ! 地球が昇(のぼ)ってくる!」。アンダースの叫(さけ)びに、ラベルもボーマンも窓の外を見ました。荒涼(こうりょう)とした月の地平線の向こうに、まばゆいばかりの青と白に彩(いろど)られた地球が、漆黒(しっこく)の闇(やみ)を背景にゆったりと昇っていきます--「なんて美しいんだ!」。うっとりと見つめる3人。彼(かれ)らは、20世紀で最も衝撃的(しょうげきてき)で印象的な天体の風景を目にしたのでした(写真2)。

 アポロ8号が年の暮れになって月を周回した1968年という年は、米国にとって非常に暗い年でした。ベトナム戦争が泥沼(どろぬま)に陥(おちい)って、国民が18世紀の建国以来、初めてこの国の未来に疑問と不安を感じた年と言われました。

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