毎日、飼育員に歯と歯茎のチェックをしてもらっているカバ=大阪市天王寺動物園提供
虫歯のあるシマウマの骨格標本=大阪市で長尾真希子撮影
Q 動物は歯磨きをしなくても、虫歯にならないのですか? (兵庫県西宮市、小3女子)
糖分ゼロ生活の野生はならない
A 動物の歯に詳しい大阪・天王寺動物園の獣医師、今西隆和さん(56)に教えてもらいました。
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野生の動物は、甘いものを食べることがないので、虫歯になることはほぼありません。虫歯菌の繁殖には、糖分が必要です。虫歯は、糖分で歯のエナメル質がとける病気です。草食動物が食べる草や木、肉食動物が食べる動物の肉には、ほとんど糖分が入っていないため、虫歯になることはないのです。
一方、動物園で飼育している動物には、バナナやリンゴ、サツマイモなどをおやつにやることがあります。それでも、与える量が少ないので、動物が虫歯になることはめったにないのですが、過去に天王寺動物園では、1頭のシマウマが虫歯になったことがあります。動物園の動物は、野生の動物に比べて寿命が長いため、歯がすり減って、そこから虫歯になる場合があるのです。シマウマの名前や年齢、いつごろ飼われていたかなど詳しいことはちゃんと調べてみないと分からないのですが、天王寺動物園は、このシマウマの骨格標本を使って、草食動物と肉食動物の歯の形の違いを説明する時に見学者に公開しています。
天王寺動物園で唯一、定期的に歯と歯茎の状態をチェックしているのは、カバです。前歯に干し草などが絡まり、歯茎に炎症を起こす恐れがあるため、1日1回、おやつタイムの時に手でさわったり、車の洗車用ブラシで歯を磨いたり、歯茎をチェックしたりしています。
一方で、家庭で飼っているペットの犬や猫の虫歯は増えているようです。ペットフードは軟らかいものが多く、飼い主が甘いものをやってしまうこともあります。そうすると、歯にべっとりと食べ物や食べ物のカスが付着し、歯磨きをしない場合、歯石が付きやすくなります。歯石がどんどん大きくなると、歯が埋もれてしまい、歯肉炎や歯槽のうろうになりやすくなります。虫歯になると、えさが食べられなくなるため、寿命が短くなってしまいます。
人間も同じです。小学生のみなさんも物を食べたら歯を磨くことを徹底しましょう。【長尾真希子】