小学6年の女の子がクラスメートに行った「制服アンケート」。希望する欄にシールをはってもらいました=家族提供
中野区立中学校の制服の一例。原則スラックス(左)は男子用、スカートは女子用だったが、性別に関わらず選べるようになる=提供写真
東京都中野区は新学期に向けて、区立中学校の制服について性別を問わず自由に選べるようにします。今は原則として男子生徒がスラックス、女子生徒がスカートをはいていますが、誰もがどちらを選んでもよくなります。役所を動かしたのは、小学6年の女の子の訴えでした。【坂根真理】
中野区には区立中全10校に制服があり、デザインは学校ごとに違います。寒さ対策や性的少数者であることなどを理由に女子がスラックスを望む場合、はけるかどうかは校長先生の判断にゆだねられていました。
制服を自由に選べるようにするのは、この春に区立中に入学する区内の小学6年の女の子(12)が区役所のトップの酒井直人区長に訴えたのがきっかけでした。女の子はサッカーが大好きで、いつもスラックスをはいています。昨年秋、「スカートをはきたくない」と両親に打ち明けました。両親は「むりやりスカートをはかせる時代ではない」と後押しし、入学予定の中学校の校長先生とPTA会長に相談。スラックスをはくことを快く認めてもらいました。
女の子はその後、クラスメートの女子14人に制服についてアンケートしました。中学校の制服で、「スカートがいい」と答えた女子は3人だけで、「ズボン」は6人、「どちらもはきたい」は5人でした。昨年12月、酒井区長にアンケート結果と「制服自由化宣言!をしてほしい」と題した文書を手渡して検討が始まり、区立中の全ての校長先生が制服の自由選択を支持しました。女の子は「制服を自由に選べたら、私みたいな運動が好きな人も寒がりの人も性的少数者の人も、自分らしくしていていいと思える」と笑顔を見せています。
性差解消が新たな課題
性的少数者への配慮や寒さ対策などから、制服の性差をなくすことは新たな課題になりつつあります。
昨年4月に開校した千葉県柏市立柏の葉中学校は、男女とも関係なくスラックスやスカートなどを自由に選べます。福岡市では、男女共通のスラックスなどの試着を通じて生徒や保護者らの声を反映した標準服(制服)を2020年度をめどに導入する予定です。