プロテインバーを紹介する松居佑典さん(左)と西本楓さん=京都市上京区の西陣産業創造会館で2019年2月15日、国本ようこ撮影
京都市にある会社「BugMo」が、コオロギの粉をねりこんだプロテインバー「バグモクリケットバー」(1本500円、200キロカロリー)を開発しました。ウシやブタに比べ少ない飼料で育ち、たんぱく質やビタミンなどの栄養素も豊富で、「環境にも人にもやさしい」とアピールしています。
1本に50匹分の粉
味はチョコレートと抹茶の2種類で、1本にコオロギの粉を約50匹分ねりこみ、レーズンなどのドライフルーツやナッツ類も加えました。京都・大阪両府や兵庫県などのスポーツジム、スーパーにおろすほか、インターネットでの注文で月計約1000本を出荷しています。
開発のきっかけは、会社の共同代表の西本楓さん(21)と松居佑典さん(32)が目にした海外の食料事情や環境問題です。西本さんは大学2年の時、アフリカのウガンダでボランティアに参加し、月1度しか肉を食べられず栄養失調になる子どもたちに出会いました。松居さんは仕事で訪れた東南アジアのカンボジアで、畜産飼料を育てるために熱帯雨林が切られていることを知りました。
知り合いになった2人は2017年12月、省資源のたんぱく源として養殖昆虫を使った商品の開発を始めました。まずは、魚つりのエサなどに使われるミールワームでクッキーを試してみましたが、「ものすごくまずかった」。ハエやタガメなどでも試してみましたが、苦みが少なく年間を通して飼育できるコオロギが一番と考えました。
原料にはタイ北部の農家が育てた食用コオロギを使っていますが、数年以内に国内産に移す予定です。昆虫ならではの苦みを抑えるため、加工直前にはエサを与えずに体の中のふんを抜くそうです。
サンプル用のコオロギを約4万匹飼育している滋賀県内の工場では、エサやりの自動化など養殖システムの開発を進めています。松居さんは「将来は食料不足に悩む国に生かしてもらいたい」と言います。
会社名は英語で虫を意味する「Bug」に日本語の「も」をつけ「虫も食べてほしい」との願いを込めました。西本さんは「昆虫食の文化はもともと世界各地にあります。現代に合うよう立て直したい」と話しています。【国本ようこ】