南スーダンで開催されたスポーツ大会。裸足の選手もいました=写真提供、Shinichi Kuno / JICA
前橋市の支援に感謝の気持ちを述べるJICA南スーダン事務所長の友成晋也さん=前橋市役所で
アフリカ東部に位置する南スーダンの選手団が、2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック出場へ向け、今年9月から1年間、群馬県前橋市で事前キャンプをします。60年以上前から繰り返されてきた紛争のため、練習施設すらなく、困り果てていたところ、前橋市が受け入れに手を挙げました。【鈴木敦子】
南スーダンの選手団は、五輪選手3人とパラリンピック選手1人、コーチ1人の計5人。陸上競技に出場します。選手団と前橋市を取り持った国際協力機構(JICA)によると、東京五輪・パラリンピックで1国の選手団を長期にわたって受け入れる自治体は初めてです。
JICA南スーダン事務所などによると、1955年から17年続いた第1次内戦、83年から22年続いた第2次内戦のあと、南スーダンは2011年に独立しました。その後も争いは絶えませんでしたが、昨年9月に和平合意が締結され、首都の治安は良くなりつつあるといいます。
しかし、競技をするための施設はなく、選手は砂地の空き地を走っています。シューズがなく、裸足で練習する選手もいます。その一方で、16年リオデジャネイロ五輪で建国史上初となる3人の陸上選手が出場しました。国民の間でスポーツや東京大会への関心が高まっています。
選手団は9月ごろに来日し、東京の選手村に入る来年7月ごろまで前橋市に滞在。市が借り上げたアパートで暮らしながら、トレーニングに励みます。滞在中は市民との交流行事も予定されています。
費用2000万、ふるさと納税で
必要な費用は2000万円です。市は来月1日から募る「ふるさと納税」でまかなう考えです。ふるさと納税は、税金を納める人が、応援したい自治体にお金を寄付する仕組みです。
JICA南スーダン事務所長の友成晋也さんは「南スーダンの人の運動能力は高く、活躍を期待できる」と言い、前橋市に感謝しています。