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的川博士の銀河教室

宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。

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549 「はやぶさ2」降下を中断

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撮影に成功、作業に遅れなし

 探査機「はやぶさ2」チームは、さる5月15日、小惑星(しょうわくせい)リュウグウ表面からの高度約10メートルをめざして、降下を開始しました。4月に作った人工クレーター付近からサンプルを採取する予備調査のためです。

 「はやぶさ2」は、地球から3億キロ以上も遠くにいるので、地上から指令を出すと、電波が片道17分くらいかかってしまいます。だから表面近くまで行くと、前もって覚えさせているコンピュータープログラムによって、自律的に行動します。今回も自分で判断しながら、計画に沿って降りていたのですが、翌16日、高度50メートルあたりまで降りた時に何らかの異常事態が生じたらしく、「はやぶさ2」は、降下を中止して上昇(じょうしょう)しました。落とす予定だった着陸の目印(ターゲットマーカー)も分離(ぶんり)しませんでした。「はやぶさ2」の状態は正常で、17日の午前中には、すでにホームポジションに戻(もど)っていることを確認しました。

 何が起きたのか、チームでは急いでデータの分析(ぶんせき)を進め、事情が分かりました。「はやぶさ2」が降下するときは、リュウグウ表面に向けてレーザー光を発射し、それが表面で反射して返ってくるまでの時間から、高度を確認しながら降りていきます。そのために使う機器がLIDAR(図1)で、ライダーと読みます。レーザー高度計ですね。今回、途中(とちゅう)でLIDARの受信感度を変更(へんこう)した時、何かノ…

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