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的川博士の銀河教室

宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。

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552 ポストISS計画(その2)

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「厄介」で「すてき」な軌道に投入

 月を回る有人ステーション「ゲートウェイ」の建設は、今の予定では2022年の電力・推進モジュール(PPE)の輸送から始まります。今週は、その建設スケジュールについて話しましょう。

 PPEもそうですが、ゲートウェイはNRHO(準直線ハロー軌道)と呼ばれる特殊(とくしゅ)な軌道に投入されます。これは、地球から行く時も帰るときも、図1で大まかに示したように、月を複雑にスイングバイしてやっと到達(とうたつ)する厄介(やっかい)な軌道なのですが、到達した結果は図2のような感じで、月を南北に回る長楕円軌道(だえんきどう)(近月点4000キロ、遠月点7万キロ)です。実は、ごく最近発見されたすてきな軌道で、運ぶためのエネルギーが少なくてすみ、安定して回り続けることができ、地球との通信が月で遮(さえぎ)られることもありません。そのうえ、熱的にも安定しているので、ゲートウェイの運用にも都合がいいし、人間が生活もしやすいという、願ったりかなったりの軌道なのです。

 さて、モジュールを運ぶのは、基本的にはNASA(米航空宇宙局)が開発中の超大型(ちょうおおがた)ロケットSLSですが、PPEの輸送には商業用ロケットが予定されています。22年にPPEを運んだ後、23年から26年ごろにかけて、図3のようなスケジュール案(暫定(ざんてい))に沿って、串団子(くしだんご)のように次々(つぎつぎ)とドッキングさせていって、第1段階のゲートウェイは完成に至ります。

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