Q 運動神経って何? 目に見える?(神奈川県川崎市、中1)
脳の情報伝達が運動能力決める
A 脳科学者の青山学院大学理工学部教授、平田普三さんに教えてもらいました。
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まず最初に「運動神経」という言葉が何を意味しているのか、そこから考える必要があります。
「運動神経がいい」という言い方をしますが、これはふつう、ちょっとの練習で運動ができるようになることや、初めから体の動かし方が上手なことを表します。運動能力が高いという意味で「運動神経がいい」という言葉を使っているのです。
では、運動能力の高さを決める「神経」はあるのでしょうか。
神経は、体の中や外から得られた情報を脳に伝え、脳からの指令を体の各部位に伝える役割を果たします。背骨を通る脊髄の中には「運動神経細胞」という神経細胞がありますが、そのはたらきは、筋肉に「動け」という命令を伝えるだけです。運動神経細胞に特に個人差はなく、運動能力の良しあしを決めるものではありません。
運動能力を決めるのは、運動神経細胞に命令を伝えるまでの経路です。運動するときは、大脳が状況に合った運動を選び、脳幹が「動け」という命令を出します。このとき、脳幹とつながる小脳が「動き」を微調整した上で、「動け」という命令は運動神経細胞へと伝えられます。
反復練習でよくなる
ここで大事なのが小脳と考えられています。何度も練習を繰り返すと、小脳での情報伝達のタイミングや効率(伝わる度合い)が変化します。これにより、小脳は体の上手な動かし方を学習するので、反復練習によって運動がうまくできるようになるのです。
運動の得意な人でも苦手な人でも、反復練習をすることで運動はうまくなります。到達レベルは人それぞれですが、かつての自分より必ず上達します。中でも小中学生は、練習をすればするほどうまくなります。ドッジボールでもダンスでも、とにかく練習を続けてみてください。<え・内山大助>
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