緑の芝を転がる白いボール。息をつめて見守ると……カップに入った! 20歳のプロゴルファー、渋野日向子選手が8月、世界的に有名な大会「全英女子オープン」で優勝しました。ゴルフは来年の東京オリンピックの競技にもなっています。ゴルフって、どんなスポーツなのでしょうか。【黒崎亜弓】
どんな競技なの?
屋外に造られたコースで、ピンポン球ほどの大きさの硬いボールをクラブで打ち、数百メートル先のゴールに運びます。ゴールは直径10・8センチメートルの穴(カップ)。いかに少ない打数で運べるかを競います。
コースは18のホールからなり、ホールごとに決められた打数(規定打数、パー)と自分の打数との差がスコアです。18ホールの合計スコアで順位を決めますが、力の差が大きくても一緒に楽しめるよう、ハンディキャップのしくみがあります。スコアから一定の数を引いて勝敗を決めます。うまい人ほどハンディキャップは小さくなります。
コースには、砂をためた「バンカー」や池、林があります。ボールが入った場合にどうするかは、ルールで細かに決められています。審判はいません。自分で正直に判断します。それは、ゴルフがもともとヨーロッパの貴族の間で盛んになったからのようです。今も「紳士のスポーツ」と言われ、えり付きのシャツなど服装にもマナーがあります。
オリンピックに出るのは?
男女60人ずつが出場します。どう決めるかというと、国際ゴルフ連盟が成績と国ごとの参加枠をもとに選手を順位付けしていて、上位選手が出場します。
日本選手では10日現在、男子は松山英樹選手(27)と今平周吾選手(26)、女子は畑岡奈紗選手(20)と渋野選手が60位までに入っています。
でも、まだ決まったわけではありません。これから開かれる大会の成績によって順位が変わるからです。男子は石川遼選手(28)、女子は鈴木愛選手(25)らも有力です。生涯獲得賞金歴代1位で、不振から復活してきたアメリカのタイガー・ウッズ選手(43)が出場できるかどうかも注目されています。
子どもでもできる?
幼いころからプレーをしている子もいます。子どもたちにゴルフを教えている後藤裕美子ティーチングプロは「ルールとマナーを覚えることが大事です」と言います。同じコースでプレーする人たちのことを考えて、ボールを打つ時に地面に開けた穴を直します。次のグループのことを考えて、きびきび動いてプレーを進めるのがマナーです。あいさつも大事です。「ゴルフは軽い運動なので、一生続けることができます」と後藤さん。ハンディキャップのほかに、子どもはスタート地点をゴールに近づけることで、世代を超えて一緒に楽しめます。
どうすればプロに?
ゴルフでお金をかせぐ「プロゴルファー」には2タイプあります。
一つは大会に出場し、勝って賞金をもらうという、プレーのプロです。プロテストに合格する必要があります。といっても、プロの資格を持っているだけでは大会に出られません。予選会で上位に入らないと、賞金が出る大会の出場権は得られません。
もう一つは教えるプロです。テストに合格した後で講習を受け、検定に通ると教える資格を取ることができます。
渋野選手、大人気!
渋野選手が優勝した「全英女子オープン」が「メジャー」と呼ばれる重要な大会だからです。ちなみに、イギリス(英国)で開かれるので「全英」です。
世界中でたくさんの大会が開かれています。その中で特に重要なものが「メジャー」です。男子はアメリカの「マスターズ・トーナメント」などの四つ、女子は五つあります。メジャーは歴史があり賞金も高いので、勝つと賞金ランキングの順位が一気に上がります。世界のメジャー大会で日本人女子が優勝したのは樋口久子さん以来42年ぶり、日本人男子の優勝はまだありません。
◆知りたい ワード
スコアの呼び方
規定打数に比べて1打少ない場合は「バーディー」、1打多い場合は「ボギー」などの呼び方があります。
▼スコア ▼呼び方 ※印はくだけた言い方
4打少ない トリプルイーグル、コンドル※
3打少ない ダブルイーグル、アルバトロス※
2打少ない イーグル
1打少ない バーディー
規定打数 パー
1打多い ボギー
2打多い ダブルボギー、バザード※
3打多い トリプルボギー、グラウス※
4打多い クワドラプルボギー、ターキー※
5打多い クインテュープルボギー