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的川博士の銀河教室

宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。

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的川博士の銀河教室 580 「はやぶさ2」の帰還軌道

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七つの「世界初」を発表

 みなさん、明けましておめでとうございます。昨年は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が明るいニュースをたくさん届けてくれました。「はやぶさ2」チーム=写真=が昨年12月19日に記者説明会を行い、小惑星しょうわくせいリュウグウでの運用について報告しました。

 説明会の時点で、すでに「はやぶさ2」は小惑星リュウグウから4万5000キロの距離きょりにあり、その後も順調に飛行を続けています。4基のイオンエンジンのうち、現在は2基を運転しており、この状態で乗り切ります。そして2月から5月まではイオンエンジンの稼働かどうをやめ、太陽の重力だけで飛び、その後イオンエンジンを使って9月まで運用、10月に入ってからは、搭載とうさいしたガスジェット(化学エンジン)で、地球にもどるための精密誘導ゆうどうを行います。地球帰還は、2020年11月~12月になる見通しです(図1)。

 説明会では、「はやぶさ2」がリュウグウ滞在たいざい中に達成した成果の中から、代表的な七つの「世界初」が報告されました。

(1)小型ローバー(探査車)によって小天体を移動探査した

 「イブー」「アウル」「マスコット」の3機がピョンピョンびながら移動探査

(2)複数のローバーを小天体に投下して展開した

 二つ以上のローバーは世界初

(3)天体への着陸精度60センチを実現

 2019年7月11日の第2回タッチダウンで、着陸目標地点から60センチの場所に着陸成功

(4)人工クレーターを作り、前後の状態を詳細しょうさい比較ひかく観測した

 衝突しょうとつ装置インパクターを投下し、直径約10メートルの「おむすびころりんクレーター」を作った(図2)。その様子は分離ぶんりカメラで撮影さつえいされた

(5)1機の探査機が同じ天体の2地点に着陸

 リュウグウの赤道付近で経度が約90度離はなれた2カ所(「たまてばこ」「うちでのこづち」と命名)に着陸

(6)地球圏外けんがいの天体の地下物質にアクセス

 人工クレーターによって内部から露出ろしゅつしたリュウグウ地下の物質を画像観測で確認し、そのただ中に着陸してサンプルを採取

(7)マーカー2個を人工衛星に

 ターゲットマーカー2個(「スプートニク」「エクスプローラー」と命名)を投下し、リュウグウを周回する人工衛星にすることに成功

 惑星わくせい探査史上にかがやかしい成果を残した「はやぶさ2」の帰還が待ち遠しいですね。


的川泰宣まとがわやすのりさん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍かつやくしてきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉めいよ教授。1942年生まれ。

日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣まとがわやすのりさんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載れんさい開始。カットのイラストは漫画家まんがか松本零士まつもとれいじさん。

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