田中洋之 毎日新聞編集委員
オーストラリアで大規模な森林火災の被害が深刻化しています。東部ニューサウスウェールズ州などで昨年9月から続く山火事は、これまでに北海道の面積(834万ヘクタール)を上回る約1000万ヘクタールを焼失し、コアラをはじめ多くの野生動物が犠牲になりました。焼死したコアラは数万頭にのぼるといわれます。皆さんのなかには、やけどを負ったコアラの映像を見て、悲しい思いをした人もいるでしょう。
オーストラリアは近年、都市開発で森林が破壊され、コアラの生息数が急速に減少していました。コアラが自動車事故に巻き込まれたり、ハンティング(狩り)の対象になったりするケースもあります。今回の森林火災では、コアラの主な食べ物であるユーカリの木が焼けてしまいました。ユーカリが再生するにはかなりの時間がかかるので、このままではコアラが餓死するおそれも出ています。
こうしたなか、「絶滅の危機に直面しているコアラを救おう」と、オーストラリアとつながりがある愛知県名古屋市の東山動植物園は募金の受け付けを始めました。東山動植物園は1984年、名古屋市の姉妹都市である最大都市シドニー市のタロンガ動物園からコアラを贈られ、日本で初めて公開した動物園の一つです。現在は10頭のコアラを飼育しています。園内に募金箱が設置され、来場者から寄せられた支援金は、現地で被災したコアラなどの保護や治療にあたっているタロンガ動物園の基金に寄付されます。
名古屋まで行けないという人も大丈夫。タロンガ動物園はインターネット上で支援を募るクラウドファンディングに日本語サイト(https://gogetfunding.com/australian−koala−and−wildlife−crisis−appeal/?lang=ja)を設けており、どこからでも寄付をすることができます。コアラ支援の輪が広がるといいですね。
通算8年半にわたりモスクワ特派員をつとめ、ユーラシア大陸の各地を取材した。ロシアが生んだキャラクター「チェブラーシカ」をこよなく愛する。