育児のうをもったタツノオトシゴのオス=名古屋港水族館提供
Q タツノオトシゴはオスが子どもを産むの?(大阪府河南町、小1、荻野幹太さん)
オスのおなかには卵をかえす袋ある
A 細長い口、ふくらんだおなか、くるりとまいた尾を持ち、独特の形をしたタツノオトシゴ。ヨウジウオという魚の仲間です。日本近海にすみ、10種類ほどがいます。世界では50種類ほどが知られています。
大きさは8センチメートルほどです。うろこが変化したかたい骨板でおおわれています。よく見ると胸びれ、背びれがあります。これらを動かして泳ぎますが、速度はとてもゆっくりです。
浅い場所にある藻場などでくらしています。泳ぐ能力が低いので、流されないように尾を藻にからませて体を支えます。流れてくる動物プランクトンを、細長い口からすいこんで食べます。
春から秋に産卵し、1回で70~80個ほど産みます。オスが子どもを産むように見えますが、卵を産むのはメスです。
タツノオトシゴは、おなかが大きいほうがオスです。オスのおなかには「育児のう」という袋があります。のうは漢字で書くと「囊」で、袋の意味です。メスはオスの育児のうの中に卵を産み、育児のうの中で受精します。1か月ほどで卵がかえり、しばらく育児のうの中で子どもを育てます。
名古屋港水族館(愛知県名古屋市)の飼育員、伊藤友香さんは「オスが体をふるわせ、育児のうから子どもが出てきます。子どもの大きさは2センチメートルほどで、小さいけれどもタツノオトシゴの形をしています」と話します。ふくらんだオスのおなかから子どもたちが出てくるので、出産しているように見えるのです。
育児のうがあるのはヨウジウオ科の魚だけです。ほかの魚は海藻に卵を産みつけたり、海の中に産んだりしますが、流されたり、ほかの魚に食べられたりすることもあります。タツノオトシゴは、育児のうで確実に卵をかえすことができるので、ほかの魚に比べて卵の数が少ないです。また、オスに卵をたくすことで、メスは体を休めて次の産卵に備えることができるといいます。【篠口純子】
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